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2011/09/15

いのちと環境 人類は生き残れるか 柳澤 桂子

いのちと環境: 人類は生き残れるか (ちくまプリマー新書)
「いのちと環境」 人類は生き残れるか 
柳澤 桂子 (著) 2011/8 筑摩書房 新書 222p
Vol.3 No.0459★★★★☆

1)最近のわが読書はどうもオーバーイーティングである。3.11以後、長い間書店や図書館が閉鎖されていため、読書をする習慣が一時途絶えていた。その後、徐々に復活してきたことをいいことに、どうも最近は、多めに本を取ってしまい、手には取ったものの、よく読めないままに、ブログにメモをすることもなく返却する本もだんだんでてきている。

2)震災ショックや夏の暑さのために中止していたが、以前からダイエットのために続けていたウォーキングも復活し始め、図書館までの往復一万歩の旅が復活し始めた。

3)足で歩く速度でみれば、津波災害の蔭に隠れて、あまり語られない地震災害だが、実は、街道沿いの家々やビルを見ていると、実にそうとうに被害が多いことが分かる。工事業者も不足していたためか、ここに来て、ようやく工事がはじまっているところも多い。

4)ああ、ここもやられている、あ、ここもだ。歩くたびに驚かされる。そして、驚いたことに、わが図書館もまたふたたび一部を残して修理工事のために閉鎖となってしまったのである。思えば、復活した書店も多いが、いつも行っていた書店も、じつはあちこちで復活不能のまま放置されていたり、閉店されていたりする。

5)そんな中、図書館の受付で、数少ない書籍数の中から、よく中味も確かめないまま借りてきたのがこの本だった。地震・津波や原発・放射線問題はそろそろ一区切りつけようと思い始めた時に、この本のタイトルはなかなかよい曲がり角に思えた。

6)しかし、正直言えば、あまり論理的思考が優れていない私としては、前半の「科学的」アプローチはとびとび読むことになった。「おむつ」に関する考察はおもしろかったし、原発反対の主旨ももっともだと思った。だが、彼女がもと研究室にいた時に、マウスに肝ガンをつくる実験をする場面などがでてくるに及んで、これはこれで問題があるぞ、と思い始めた。

7)1938年生まれのすでに古希を迎えられた方である。彼女がどのような業績をお持ちの方かは存じ上げないので、まぁありきたりのよくある本ではないだろうか、と、ブログにメモもしないでこの本も返すことになるのかな、と思い始めていた。

8)運のいいことに、私は病気で苦しんでいる間に、意識の成長と成熟、そして進化と思われることを全部体験しました。生命科学者であった私は、神経についても勉強していましたので、自分になにが起こったのかということを理解したくて、調べ考えました。p195私の神秘体験「人類の未来に向けて」

9)残りの後半、とくに最後部に到って、なにげなく飛びだした「意識」という単語に、ふと気がついた。彼女が描こうとしていたのは、むしろ、ここからだったのだ。

10)ちょうど、対談のためにいらしてくださった徳の高いお坊様にこの話をしましたら、私のたどり着いた状態は大悟と呼ばれるものだとおっしゃいました。大悟というのは、深い悟りの境地です。p199「同上」

11)この方、他にも著書があり、なにやら気になる本もあるようだ。当ブログが、「意識をめぐる読書ブログ」であらんとするならば、この本に出会ったのは必然であったようにも思う。科学者でありながらこの方もまた「センス・オブ・ワンダー」をお持ちの方である。

12)今すぐみなさんにできることがあります。まず自分の意識レベルを上げるような勉強をしてください。いい芸術に触れることをお勧めします。特に優れた文学を読みよく考えてください。あなたの周囲の人の意識レベルを上げるような会話をして下さい。

 私の生涯の残りの時間は少なくなりました。神経も若い頃のように活発には働きません。これからますます悪くなるでしょう。私の人生の終わりに際して、これから地球に生きる生物に、これから生まれてくるものたちに幸せに暮らしてほしいと祈らずにはいられません。p212「おわりに」

13)この本を書き終えて校正をしているところで、著者は3.11に遭遇した。出版はこの8月になってからではあるが、本文はほとんどが3.11前に書かれたものであり、まさに、この事態を予測したように、そっと静かに書かれた、強力な一冊である。

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 自分のブログを見ていたら、彼女の翻訳本をすでに読んでいたことがわかった。

  「よく生きる智慧」柳澤 桂子 2008/12 小学館

 読んだ当時の感触はあまりよくなかったようだが、ここにメモしておく。2011/9/19

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