「脱原発」成長論 新しい産業革命へ 金子勝
「『脱原発』成長論」 新しい産業革命へ
金子勝 2011/08 筑摩書房 単行本 187p
Vol.3 No.0450★★★★☆
1)広瀬隆のような人に言わせると
・すべての原発をいますぐ止めろ
・原発を止めても電力は不足しない
・原発を止めても今のままのライフスタイルを維持できる
・あれこれ議論している場合ではない
・一般人が危険を感じないのは情報が開示されていないからだ
・代替エネルギーで有効なものはほとんどない
・今のまま、とにかく原発をとめるべきである
ということになる。充分な読み込みではないが、一読者としてはそう読める。
2)それに比して、まずはこちらの金子勝の本は、タイトルからして「成長論」とある。そもそも脱原発を語るのに、「成長」をセットアップしなければならないところが、ちょっとさびしい。また「新しい産業革命へ」のサブタイトルもまた、多少は受けを狙ったコピーだろうが、これをセットしないと、「脱原発」を語れないのだろうか。
3)ガレキの山が散在する東北沿岸部の街々は、防災機能を強化したうえで世界最先端のスマートシティを目ざした町作りを行う。港や海岸には風力発電や太陽光発電を設置し、中山間地にはバイオマス発電や小水力発電を普及させる。そして、いち早くスマートグリッドによるネットワーク型送配電網を整備するのである。p167「東北スマートシティを」
4)なかなかの上から目線である。その案に必ずしも反対するものではないが、では、誰が、何時まで、どんな方法で達成するか、が問われてくる。すくなくとも、大学やマスコミで活躍する程度の存在に、それだけの責任ある案を実行するだけの力はあるのか。
5)こんな人に「ガレキの山が散在する東北沿岸部」などと一言で片づけてもらいたくない。私なら、まずは「限りなくゴミを排出し続ける首都圏」をまずは「スマートシティ」にしてほしいと思う。東京の街の中に、風車を立て、小水力発電を設置せよ。全ての建物に太陽光発電システムを導入し、スマートグリッドによるネットワーク型送電網を整備する必要があるのは、まずは首都圏だ。
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