ガイガーカウンターGuideBook 放射能から身を守る!! 日本放射線監視隊
「ガイガーカウンターGuideBook」 放射能から身を守る!!
日本放射線監視隊 2011/06 フレックスコミックス 単行本 127p
Vol.3 No.0487★★★★★
1)だいぶ前にリクエストした本なのに、しかも私の前の順番待ちリストはわずかだったのに、ようやく私の番になるまでだいぶ時間が経過してしまった。一人二週間としても、あまりに時間がかかりすぎた。多分、ひとりひとりの自宅での滞在時間がながかったうえに、返却が遅れた人もあったに違いない。
2)その理由は、この本にマニアックな人気があるからだろう。この本、パッとめくって、サッと閉じるという本ではない。ひとつひとつが貴重な資料である。
3)オンラインでみただけでは、この本はムック型の大型本ではないかと思っていたが、いざ手に取ってみれば、オールカラーのきれいな読みやすい本ではあったが、小さな新書本サイズだった。
4)ガイガーカウンターを中心に書いてある本は殆どない。いままで当ブログの読み込みでは、「自宅につくる震災対処PCシステム」(2011/05)あたりがレポートしていただけであった。それでも、わずか見開きで数ページにすぎなかった。
5)だから、この本が貴重であることがよくわかるし、発売当初に私の番が来たら、ヤッパリ私も期間ぎりぎりまで手元においていたに違いない。
6)しかしながら、発行からすでに半年近くが経過し、情報も古くなり、また新しいガイガーカウンターも発売されるに至って、相対的にこの本の価値は変動している。が、記録として、あるいは、企画として、なかなか光るところがある。
7)ロシア製と中国製、アメリカ製、それぞれ当時入力できる16種類の機種が紹介されているが、一般的に言ってロシア製が一番評価が高く、中国製は誤差があり、アメリカ製は感度が微妙で、表示単位が違う、と言えそうだ。
8)その中でも、一般の家庭用としてお手軽に使えそうなのはほんの数種。もちろん工業用で使う場合と家庭用で使う場合の違いもあり、値段も相当に違うようだ。入手方法も、新品、ネットオークション、中古など、まちまちだ。
9)この10月20にはエステー化学から税込み15,750円で「エアカウンター」というガイガーカウンターが発売される。それがなんと実際には税込み9,800円にディスカウントされるようだから、性能や入手時期はともかくとして、まず家庭用としてはこれで十分だろう。
10)ところで、この本の企画力のすごいところは、宝石やカメラや温泉でも被曝する可能性に触れているところ。
11)温泉で湯治と聞くと、湯に入って病気を治す、とイメージするだろうが、玉川温泉ではそれ以外に、岩盤浴を行う人が多い。つまり、地中から放出される微量の放射線によって万病が治る、と信じて岩盤浴を行っているのだ。
本書はその効果について検証するものではないので、このあたりの真偽については触れないが、実際にどの程度の放射線がでているのかは興味があったので、ガイガーカウンターで測定してみることにした。p114「ラジウム温泉で測定してみる」
12)自作キットを含め12機種で計測してみると、場所や機種により、0.45~0.90μSv/hであり、これを高いと見るか低いとみるかはいろいろだが、私は、だいぶ低いんだなぁ、と思った。温泉で岩盤浴をやっている時間などホンの数時間だ。それに比べ高濃度の放射線量に常時さらされている被災地は、やはり要注意だと思う。
13)写真を見てわかるとおりエカナイトは、宝石といっても美しい輝きをはなつわけでもなく、色会いも見栄えしない。このため価格はかなり安く、写真の1カラット未満のものなら数千円で購入できる。
ただ、放射線量は0.5~2.5μSv/hあたりとそれなりにあり、アクセサリーとして身につけるのは避けたほうがいいだろう。p100「放射性宝石を測定してみる」
14)なるほど、こういう宝石も流通しているのだ。ガイガーカウンターはこのようなものを測定する場合でも役にたつ。
15)今回入手したのは、ペンタックスの「SMCタクマ―50mmF1.4」である。製品によって光学ガラスに含まれるトリウムの量が異なるため、放射される放射線量にさがでてくる。
運よくというか運悪くというか、今回入手したSMCタクマ―50mmF1.4は特に高い放射線量を放出する製品のようで、実際に測定してみたところ、思わず「オイ!?」と突っ込みたくなるほどの高い値をたたきだした。p102「アトムレンズを測定してみる」
16)3~4.4μSv/hという放射線量はたしかに高い。レンズのガラスにトリウムをまぜて性能を上げ、数年前まで使われていた、ということだから、びっくり。その名もアトムレンズ。
17)その他、アウトドアグッツとして使われるランタン用のマントル等も強い反応を示している。なにに使われるのかしらないが、ウランガラスなどというものも存在しているようだ。
18)すでにガイガーカウンターを所持している友人・知人も多く、公共団体や行政からの細かいメッシュによる測定値が日々公開される時代が来ている。それなりに放射線量の情報はきめこまかく公開されるようになってきたが、まだまだ知らないことばかり。ここはひとつ、お手軽なガイガーカウンターを家庭に常備する時代になってしまった、ということなのだろう。
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