窓ぎわのセロ弾きのゴーシュ ワルプルギュスの夜篇 原作/宮沢賢治 黒テント仙台公演
「窓ぎわのセロ弾きのゴーシュ」ワルプルギュスの夜篇
原作/宮沢賢治 作/山元清多 演出/斎藤晴彦 2011/1026 黒テント仙台公演 演劇・ミュージカル
Vol.3 No.0506★★★★★
1)40年ぶりに黒テント公演を見た。いわゆるアングラ演劇を見たのは1971年の黒テントが初めてだった。「翼を燃やす天使たちの舞踏」。なつかしい。あの日一緒に見に行った同じ高校生だった友人はいまや押しも押されもせぬ立派な演劇人。
2)ひさしぶりの観劇だったので、チケット入手方法も調べず、当日券狙いで早めに会場へ。開場5分前にようやくキャンセル待ちで入場。ゆっくり見た。
3)テントとはいうものの、すでに実際のテントではなく、ビルの8階での公演だった。客席を見ると、やはり私と同じような往年からのファン層が多く、なんだか見知った顔も多い。ややセミ同窓会的な雰囲気。
4)ストーリーそのものは、タイトル通りの内容。「窓際」と「セロ弾きのゴーシュ」で、殆どの内容が分かってしまう。だが、ゴーシュがカラオケ会社の中年で、猫がラーメン屋の出前、カッコウがガードマン、タヌキが妊婦さん、ネズミが掃除婦のおばさん、というところは、なるほどと納得。
5)主演の斎藤晴彦は1940年生まれだからすでに71才。40年前でもすでに「大人」だったから、30+40で、あっという間の人生だと、敬服。はっきり言って、年齢それなりの声量だったりしたが、それでも体の柔らかさや身のこなしは、さすが。
6)あとの役者たちについては知らないが、それでも、当時の黒テントの雰囲気がだんだんかもしだされ、自分が17歳の高校生なのか、57歳のおじいちゃんなのか、よくわからなくなってきた。
7)ピアノの住友郁治の演奏もよかった。芝居が終わったあとに、最後の演奏があり、なるほど、これがいわゆるゴーシュのアンコールの独奏の部分なのだな、とあらためてシナリオの出来に納得。
8)3.11後に宮沢賢治を読む、という志向性のもとで見た演劇だったが、この公演をみたかぎり、まったく3.11を意識させない(なにも触れられていなかった)芝居であった。
9)それがいいのか悪いのか、私にはわからない。一緒に黒テントを高校時代にみた友人は、今週末に、被災地でおなじ宮沢賢治をモチーフにした自作の芝居を打つ。それをみてから、私なりに考えてみよう。
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