宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の原稿のすべて 宮沢賢治記念館
「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の原稿のすべて」
宮沢賢治 〔原著〕 入沢 康夫 監修/解説 1997/03 宮沢賢治記念館 21×30cm 111p
Vol.3 No.0507★★★★★
1)賢治に会いたくなった。前から行こうと思っていた花巻の賢治記念館まで車を走らせた。
2)記念館にたどり着くと、あまりに良い天気。南斜面に造られた広くてのびのびとする花壇を下ると、賢治記念館イーハトーブ館があった。周囲が余りに美しく、すぐ館内に入る気になれない。
3)あちこち散歩していると、宮沢賢治童話村へ。美しい。林があり、広場があり、賢治の学校、がある。ひとつひとつの施設がうれしくてしかたない。
4)ただただ散歩しているだけで、一時間も二時間も過ぎてしまった。
5)宮沢賢治記念館では、賢治のチェロをみたり、妹トシのバイオリンを見たり。賢治の人生をまとめたビデオも、なんともいい。
6)パネルには、賢治を世界に紹介したとして、ゲーリー・スナイダーの写真とともに、「The Back Country」が飾られていた。やっぱりな、そうだろうなぁ。ここでは「奥の国」ではなく、「奥地」と訳されていた。
7)紹介ビデオを見ていて、賢治が明治三陸津波 の1896(明治29)年に生まれ、昭和三陸津波の1933(昭和8)年に亡くなったことが、あらためて思いだされた。ある意味、賢治は津波の申し子だった。今、賢治は、3.11東日本震災をどう思っていることだろう。
8)イーハトーブ館には、沢山の賢治研究の資料があった。全部欲しいと思ったが、欲張ってはいけない。まずは一冊目。「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の原稿のすべて」を求めた。
9)21世紀の私たちは、ネットにつながり、ワープロを使うが、賢治の時代は、小説を書くと言えば、20*20字、400字詰めの原稿用紙である。そこに、賢治にやってくるインスピレーションを書きとめるかのように、流れるような文字で、まるで書きなぐられたような字があり、さらに、それに書き加える小さな文字が沢山ある。まさに賢治ワールドである。
10)童話館で「セロ弾きのゴーシュ」の人形たちも待っていた。きのうみた黒テントの「窓際のセロ弾きのゴーシュ」もわるくはないのだが、やっぱり主旨が違ってきている。やればできる、という街場での教訓も悪くはないのだが、賢治ワールドは、やはり、自然界の動物たちとの触れ合いがあってこその世界だと思う。やればできる、というより、人は、自然との触れあいの中で、本当の芸術家になるのだ、というのが賢治の本旨だろう。
11)この本、なまなましい賢治が感じられる。賢治は生きているぞ、とゾクゾクした。
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