エコロジーの大転換 中沢新一 管啓次郎 現代思想2011/11
「現代思想」 2011年11月号 特集=ポスト3・11のエコロジー
中沢新一 (著), 管啓次郎 (著), 2011/10 青土社 ムック 245ページ
Vol.3 No.0545★★★★★
1)「エコロジーの大転換」というタイトルの元、二人が対談(2011/9/25/明治大学内)をしている。管については何も知らないが、対談者だけあって、中沢新一とは親和性のある方向性にある。
2)中沢 夢みたいな話かもしれませんが、宮澤賢治という存在を考えていくことは大事なのではないでしょうか。確かに賢治がやっていたのはドンキホーテみたいなことで、農業のことなども周りから笑われるようなことをやっていたわけですが、いまになってみれば可能性があるのはこの人しかいないのですよね。
いまはとにかく馬鹿にされてもいいからその場所に立っていろいろなことを考えてみたいと僕は思っています。
実際まだよくわからないのですよ。どうしていいのかわからないところはいっぱいあるのですが、国や企業が進行させている事態は決して「東北的」ではないのですね。「東北的」というのは独自の概念としてあると思っています。
「東北的復興」というのが推進されなければいけない。かといって、「じゃぁそのその組織をどうやってしていくのだ」と問い詰められると、「いまはまだそこまで用意がなくて」としか言いようがないのですが。p49
2)中沢はほかに、南方熊楠や足尾銅山の田中正造、「森は海の恋人」の畠山重篤と共に、宮本常一の名前を上げている。
3)中沢 僕は本の中に「緑の党みたいなもの」が必要だと書きました。すると、「日本にドイツみたいな緑の党なんていらないんじゃないか。だけど宮本常一みたいな思想が入っている運動だったら意味がある」ということをインターネットに書き込んだ人がいて、よくわかっている人だなと思いました。
僕が考えているのも、宮本常一みたいな視点がないと、日本では有効に機能しないし、日本の自然とフィットした運動体にならないと思っています。だから難しいのです。
普通の政治集団をつくればよいというのではなくて、本当に「宮本常一みたいな」と言えるくらい地べたにくっついたところから発想していかなければならない。先ほどから宮澤賢治とか南方熊楠の名を挙げてきましたが、それに加えて宮本常一の名も挙げたいと思います。p49
4)中沢は、内田樹らとの対談「大津波と原発」(2011/05)の中で、「緑の党みたい」なものに触れている。それは少しづつ具体化しそうでもあるし、今だ模索中でもあるようだ。
5)宮本常一みたいな人、という意味では、「地元学」を提唱し「東北を歩く」の著書のある結城登美雄のような人が連想される。
7)ガイア思想のラブロックのようなエコロジストが結局は原発推進に流れたり、グリーンピースの運動が漁師の実体を無視した運動を展開していることに疑問を感じるなか、ふたりは今日的なエコロジー、特に、日本的で、なおかつ「東北的」なエコロジーとは何かを模索する。
8)中沢 僕は仏教はキリスト教やユダヤ教のような宗教とは違うと思っています。それは、ゴータマ・ブッダという人がいなくても、仏教は出現しただろうということです。しかしキリスト教はイエスがいなければ出現していないでしょう。
つまり、地球上に長い歴史を刻んできた土着思想から湧き出してくる思想が、仏教となって展開したのだと思うのです。だからこそ、内在する自然から超越を考えていく方法ができるのでしょう。
逆にいうと、アニミズムを思想としてソフィスティケートして深めていくときに現われる思想形態の一つとして、仏教があると思うのです。p40
9)もともとチベット密教の修行者であるべき中沢だから、どうしても仏教びいきになることは仕方ないとしても、ここで単純に西洋=キリスト教、東洋=仏教、という割り切り方では、状況は切り開いていくことは勿論できないだろう。
10)東北とはいうけれど、そこから生まれてくるべきものは、一神教も、旧来のいわゆる仏教も越えた、新しい地球人スピリットともいうべき、未来志向の精神性こそ立ち上らせるべき時期にきているのだ。
11)山尾三省の遺言集ともいうべき「アニミズムという希望」も再読される必要のある一冊ではあるが、当ブログにおいては、ゲーリー・スナイダーのいう環境生態主義 バイオリージョンという言葉で、その性格を表現するほうがより適していると思う。この言葉は容易に「アーバン」・バイオリージョンという新たな展開ができて、より現代の地球人の実存の中に溶け込みやすいと思う。
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