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2011/11/13

郡山遺跡 日本の遺跡35 飛鳥時代の陸奥国府跡 長島榮一<3>

<2>よりつづく 

【送料無料】郡山遺跡
「郡山遺跡」 日本の遺跡35 飛鳥時代の陸奥国府跡<3>
長島榮一  2009/02 同成社 全集・双書 185p
★★★★★

1)図書館でリクエスト本を受け取った後、ウォーキングで東方面に歩いて行って見た。何時もウォーキングしたり、車で走ったりするするエリアなのだが、表通りからちょっと中に入ると、どちらかというと戦後の混乱期を思わせるような、いわゆる乱開発エリア的地域となる。

2)かつては顧客もあったりして、一度二度は足を踏み入れたが、なんせ交通の便も悪く、東西南北の方角さえわからなくなるような曲がりくねった細道が続く住宅街なので、車ではいるのは諦めていた。

3)今回、ウォーキングで入ってみて、実は、ここに多賀城を超えるような、壮大なロマンが隠されていたなんて、ついぞ知らないでいた自分を恥じた。

4)郡山中学校のすぐ脇には、すでに発掘したあとに埋め戻された遺跡跡の一部が広がり、ちょっと離れた一角には発掘調査事務所がある。郡山遺跡展示室もあるのだが、震災のため、残念ながら閉鎖されている。

Image_01

史跡仙台郡山官衙遺跡群

5)この壮大なロマンが浮きあがってくるとともに、私の中には複雑な惑いが生まれる。時の中央権力の野望に対する、まとわざる民=エミシたちの動向はどうなっていたのだろう。

6)ゲーリー・スナイダーが、アメリカ大陸のことを、ネイティブ・アメリカンの言葉で「亀の島」と捉えなおしたように、この列島もまた、エミシたちの言葉で捉えなおさなければならないのではないか。

7)”亀の島”の侵略者 合衆国は
世界中で 戦争おっぱじめる されば
立ち上がれ 蟻よ アワビよ カワウソよ 狼よ エルクよ
ロボットの国々から 君らの贈物を取り戻せ!
 ゲーリー・スナイダー「亀の島」p99

8)いや、エミシやホツマ、などと言っていると、ますますこんがらかる。スナイダーのように、「蟻よ アワビよ カワウソよ 狼よ エルクよ」と、呼び返さなければならないのかもしれない。

9)発掘調査にながく携わった著者長島榮一は太白山について、遺跡内からは真西に見え、夕景などは非常に美しい光景を現してくれるp114と書いている。えっ、あんな住宅街で本当だろうか、といぶかったが、実際にその地に立ってみると、なるほど新幹線やビル街から数百m離れただけで、空が広くなり、建物の隙間から見事に太白山が見えてくる。

10)太白山と重なるように奥羽山脈を見ることができる。そこに覗く峰は、神室岳(かむろだけ)である。標高1350m程の峰が二つある。

 カムロはアイヌ語の起源では、「神の住居」といわれている。西方に見える山々に宿る現地の神に対し口を漱いで宣誓する行為と、蓮池が原型とされる石組池から西方世界を望む仏教的観想とを重ねて表現しているのではないのか。長島榮一 p114

11)スナイダーもまた、仏教徒であった。

12)灰色ギツネ 雌
重さ 9ポンド 3オンス
長さ 尾つきで 39 5/8 インチ

開の忠告で
皮剥ぐ前に
まずは 般若心経
 ゲーリー・スナイダー「亀の島」p135

13)仏教、あるいは仏教徒、とは何であるか、考えてみる。国家権力が、思想や宗教を、侵略の武器として使ってきた史実は残る。仏教もまた例外ではなかった。

14)ロング・ヘアーの一部が農耕を志し、辺境へ帰ってゆくのは、郷愁に駆られて19世紀を再現しようというのではない。先住の民インディアンから、謙虚に学ぼうとする白人の時代がやっと現われたのだ。私たちの子供、またその子供が幾世代もこの大陸に(月の上ではなく)生き続けるには、いかにあるべきか。この土くれ、これらの樹々、これなる狼を愛し守り、”亀の島”の原住民となること。ゲーリー・スナイダー「亀の島」p211

15)郡山遺跡やあすとナーガにおいては、19世紀の再現どころか、今から1300年以上も前の7~8世紀の大地のスピリットを思い起こすことができるのだろうか。

16)ウィルダネス、バイオリージョンとして、大地や、生命たちの声を聞くことができるだろうか。

17)二冊ほどの借り出した本をリュックに入れて、手にぶら下げながら、いつもより5000歩も多いウォーキングをした。何度も足を踏み入れてみよう。

18)そうそう、そう言えば、今日、ドラゴンを祀った社をひとつ見つけた。タントリ川の河畔にあって、いままで車やウォーキングで通り過ぎるだけだったが、ふと立ち寄ってみると、「寶龍社」となっていた。なるほど、ドラゴンね。いるだろうな。

<4>につづく

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