わたしの3・11 あの日から始まる今日 茂木健一郎編集
「わたしの3・11」 あの日から始まる今日
茂木健一郎・ 編集 堀江貴文/サンドウィッチマン/上杉隆/高橋源一郎/他 2011/5/20 毎日新聞社 単行: 264p
Vol.3 No.0541★★★☆☆
1)3.11から8ヵ月余が経過した。発生率99%と言われた宮城沖地震に備えていた人たちもいただろうし、突然の被災に驚いた人もいた。私たちOshoサニヤシンにしてみれば、ダイナミック瞑想の「STOP!」がかかったような状態だが、それをキチンと受け止めることができる人はどれだけいただろう。
2)2011年3月11日午後2時46分。列島の自分がいる場所によっては震動の伝わり方に時差があるだろうし、続いて起きた余震によって、時間的なズレはあっただろう。しかし、3.11という日時は、多くの人々の記憶に叩きこまれた。
3)震災後、図書館も書店も、ネットさえも壊滅した被災地では、読書もなにもあったものではなかった。また、目の前の光景をみていれば、別に他人の体験談やグラビア雑誌など見る必要もなかった。あるいは、他人の苦労まで背負うほどの余裕がなかった、とも言える。
4)震災後、短い文章を多くの人が寄せ集める、このようなオムニバス形式のほとんどが面白くなかった。本として首尾一貫しておらず、また、そこに「解決策」があるわけでもない。ほとんどが、印象のパッチワークでしかない。
5)この本もまた約15人の人々が震災後1ヵ月ほど書いた文章を寄せ集めているわけだが、震災の全体像が描かれているわけではなく、ひとりひとりの生活が、その瞬間として切り取られているだけである。
6)もちろん、ひとりひとりに関心があれば、それはそれで面白いのだが、それでもやっぱり被災地にはそれほど余裕のある人は多くない、と見るべきだろう。
7)この本は、茂木健一郎編集となっているわけだが、別にこの本に彼の名前を冠するほど特別な意義もなく、また、彼自身の文章も、普段の「精彩」の片鱗が見えるわけでもない。じつにおざなりな「一般市民」の意見でしかない。
8)堀江貴文も、たくみに自らの宣伝をしているだけで、ツイッターやその他での彼が自負するほどの「活躍」は、実際の被害に対しては、何事の効果もなかったのではないか、と毒づきたくもなる。
9)コメディアンのサンドウィッチマンの伊達みきお+富澤たけしは、気仙沼でロケ中に被災し、近くの山に駆け上がって助かったという体験をシェアしている。ビデオでの映像はかなり流布しているが、当日の体験を時系列的に記録している「有名人」の体験談は少ない。被災後一カ月というタイミングだけに、うまくまとめられなかった部分もあるだろうし、コメディアンという立場での表現も苦労があろう。それでも、二人の体験談は貴重だと思える。
10)他の人々の体験談も押して知るべしという内容である。
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