大津波と原発 内田樹/中沢新一 /平川克美
「大津波と原発」
内田樹/中沢新一 /平川克美 2011/05 朝日新聞出版 単行本 119p
Vol.3 No.0542★★★★☆
1)3.11後、8ヵ月が経過して、壊滅状態だった図書館も一時補強で再開したあと、再び本工事に入って休んでいる館も出てきている。
2)超人気本だったものも、ウェイティングリストを消化し、次第に新刊本コーナーにも並ぶようになった。
3)この本も、なかなか読めなかったが、もう一巡したようで、ようやく予約なしで読めるようになった。だから、タイトルといい、内容といい、やや時期を外した本ではあるが、この対談者たちの名前を見ると、やはり手がでてしまう。
4)平川は当ブログではお初だが、内田と中沢はすでに登場している。
5)震災後一カ月で開かれた鼎談だが、はっきり行って、やはり今読むにはすこし時期を外していて、むしろこの人たちの最近の言説のほうが気になってくる季節となっている。その中でも、気になる部分もあちこちにある。
6)中沢・・・甘ったるい話だなんて誤解されるのが嫌だから言わないようにしていたんだけれど、宮沢賢治みたいな人が東北をどうするかって考えていたのは、こういうときのためなのだと思うのです。イーハトーヴの思想なんて、これからの復興の基本思想に据えていくべきものです。
宮沢賢治はそういう思想を童話で表現しておいたから、甘い話だなんて思う人もいるかもしれないけれど、彼は貧しい東北をどうやったら未来にとってもっとも輝かしい地帯につくりかえられるかということを、本気で考えていた人です。
そんなことを考える思想家が生まれ得たのは、東北だからです。東北はそういう可能性がある場所なんです。ぼくの考える「緑の党」の旗には、宮沢賢治と紀州の南方熊楠が描かれるんだ。p88
7)中沢「緑の党」はそれなりに前向きに取り組んでいるようだ。今後すこしフォローしてみよう。
8)それにしても、被災地において賢治をたちあげる、ということはどういうことなのだろう。当ブログでは、賢治をなぞってみると、最も中核になるべき部分は「農民芸術概論綱要」であると判断した。
9)そして、当ブログの6年を自らダイジェストして行く過程で、賢治の「綱要」にならった形で、「地球人スピリット宣言草稿」を書き進めるプロセスに入っている。そして、この「草稿」は、OSHOの「禅宣言」と「ZEN TAROT」の触媒と接触させることによって、さらに今日的で、実際的なものにしようと、目論んでいる。
10)中沢新一と言えば、今読み返してみたいと思うのは3冊ある。「哲学の東北」 1995/5、「アースダイバー」 2005/5、「憲法九条を世界遺産に」 2006/8。
11)あるいはもう一冊「芸術人類学」 2006/3を加えてみるのもいいかもしれない。ここからどのように「中沢緑の党」に繋がっているだろう。そこにどのように賢治が働きかけているだろう。
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