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2011/11/25

「ブッダの方舟」 中沢 新一  夢枕 獏 宮崎 信也

Hakobune
「ブッダの方舟」
中沢 新一 (著) 夢枕 獏 (著) 宮崎 信也 (著), 1989/10 河出書房新社 単行本: 267p
Vol.3 No.0551★☆☆☆☆

1)OSHOは読書量が半端無いですが、かなり英訳のものを読んでいたんじゃなかったでしょうか? 「英訳のものを読んでいた」というのは『ブッダの方舟』の中沢新一の発言なんです。という書込みを某SNSで見て、ああ、そういえば、そういう本があったなぁ、と思った。

2)一時期、精力的に(笑)、中沢新一おっかけをやったことがあり、その時点までにでた本はほとんど手に取ったと思っていたので、おやぁ~と思った。この本はかなり初期的に出た本で、それなりの本だろうと迂回した可能性がある。

3)夢枕 誰の名前を思い出したんだろう、アシュラムで・・・・バグワン・・・・・。

中沢 バグワン・シュリー・ラジネーシ。

夢枕 ラジネーシを思い出した。

宮崎 素晴らしいですよ、書いていることだけはね。僕にもかつて抹香臭い仏教からジャンプする乗り物になった。

夢枕 僕はあの人の「十牛図」とか、あれ読んで、すごかったですよ。「存在の詩」とか・・・・・。

中沢 すごく面白いと思うよ。全篇これ「盗魂」にみちみちているものね。

宮崎 逆説的だからいいんだともいえる。

中沢 みんな英訳されたので勉強するんだものね、あの人って。

宮崎 ラジネーシなんかはどうでもいいんだけど、「般若心経」も一回英訳で読んだらいいですよ。サンスクリットから直接訳した、英語で書いたやつを自分で日本語にするからいいです。自分で経典を翻訳しちゃうの。「解脱」なんて簡単、「レッド・ル―ズ」。「楽にしてやれ」だもの。

夢枕 英語の翻訳ものの「般若心経」って、読んでみたいですね。英語を日本語に翻訳した。

中沢 あるよ、いっぱい。漢字の既成概念を離れて読むのはいいよね。漢字は大袈裟だものね。 p147「山の空間、山の時間」

4)「中沢 みんな英訳されたので勉強するんだものね、あの人って」。「勉強」ってところはちょっと違うだろうな。インド人を相手にしていた時代はずっとヒンディーでレクチャーしていたわけだし、テキストもヒンディーだった。だが、アメリカ人や欧米人を相手にする時は英語が中心となって、英語のテキストを中心に読み込んだ。つまりはグローバルなスピリチュアリティを意識した、ってことだろう。勉強したのではなく、講義のために英語を採用した、ということだ。

5)宮沢賢治にしても、出口王仁三郎にしても、時代性の中で人造語であるエスペラント語に期待していた。イーハトーブなども、岩手のエスペラント語風発音、ということになっている。だが、21世紀におけるエスペラント語の状況はどのようなものだろうか。むしろ、1500語に限定したグロービッシュなどのほうがより現実的な選択肢になっているのではないだろうか。

6)地球上で一番流通しているのはスペイン語だろうし、中国語も流通している地域はかなり広いだろう。しかし、今のところ、世界の共通語といえるのは、やはり英語だ。ダライ・ラマも、今回、被災地を訪れながら、英語を勉強しなさい、と言っている。

7)さて、この本単体で考えた時、この本は宗教ゴロが3人、ゴロゴロしているだけで、あまりまともな本だとは言えない。先年、私が追っかけの中で、この本をパスしてしまったのは、それなりに訳ありと断ずることは可能である。

8)ただ、今回、改めてこの本を読みこんだとするならば、その収穫は、この本の対談が行われた3~4年の間に、夢枕獏のもとで書かれていたのが、「上弦の月を食べる獅子」であったということを確認したことは大きかった。

9)中沢は「2001年宇宙の旅」の話題を盛んに振るのだが、夢枕のほうはわりと簡単にスル―している。巽孝之「2001年宇宙の旅」講義の中で、この二つの小説の共通項が盛んに語られるのだが、割とこの時点では、夢枕獏は自分の作品の意義をよく知らずにいて、なお、中沢のこの対談シリーズの中あたりで、小説の方向性を変えていった、という可能性はある。

10)少なくとも、そういう可能性があるのだ、と気がついただけでも、この本を読んだ意義があった。あるいは、当ブログにおける「アガータ」トリップは、これで一旦落とすことも可能になってきた、と断言できる。 

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