「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」<4> NHKテレビテキスト100分de名著
<3>よりつづく
「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」 <4> NHKテレビテキスト100分de名著
ロジャー・パルバース 2011/11 NHK出版 ムック 89p
裏番組の民放で、3.11の原発事故をドキュメンタリーとして再現していた。途中でこちらを見ようと思ったが、こちらはビデオに録画して、2時間以上の渡る原発特番をみてしまった。気が重い。そうとうに重い。
巻頭大震災の翌年の暗い時代の中で書きはじめられた銀河鉄道の夜。賢治の物語を読んだとて、原発事故も、震災の被害も、すこしも解決にはならない。途方もない問題のただ中に投げ出されたままであることにはかわりはない。
世界全体が幸福にならないうちは、個人が幸福になることはできない。賢治の農民芸術概論綱要の思想とされるこの考え方。だが、本当だろうか。誰か幸せになれない人がいたって、私が幸福である、ということはあるのではないだろうか。
そもそも、幸福とはなんだろう。幸いとはなんだろう。私は今、自分がどうであったら、幸いだ、と思うのであろう。
踊りましょう、歌いましょう、祈りましょう、と、ゲスト出演の鎌田東二は言う。彼は20年ほど前になるんが、SPSの時にすこし話したことがある。あの時、三日間のシンポジウムの合間を見て、牡鹿半島の先の金華山まで足を延ばしたはずだ。彼にとっても三陸海岸には熱い想いがあるだろう。今回も、センダード若林から、イーハトーブ久慈まで足をのばしたという。
そしてロジャー・パルバースは、それに加えて、笑いましょう、という。原体剣舞連にも触れる。これから、宮沢賢治21世紀宇宙の旅、が始まるよ、と彼は言う。
銀河鉄道の夜。もし、今、賢治が生きていたら、こういうかもしれない。銀河鉄道は今も走っている。あなたの心の中を。ナレーターはそう付け加える。
賢治から教わったことは、自由。発想、生きがい、夢、希望。人間のポケットの中に、ハンドバックの中に、ジョバンニと同じ切符が入っているはずだと、パルバースは言う。
ここで何気なく、「銀河鉄道の夜」を検索してみたら、松岡正剛の「千夜千冊」がでてきた。900夜を記念してか、賢治を語っているのだが、これが長い。正剛親分の賢治に対する思い入れの激しさが伝わってくる。
最後の最後に、にロジャー・パルバースの翻訳による「英語で読む銀河鉄道の夜」が紹介されている。当ブログでも、そのうち手にとって見ようと思う。まぁ、これだけたくさんの人々との共同性を持ちうるのだから、賢治ワールドは、本当にポラーノ広場を開いてしまったのだな、と思う。
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