「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」<3> NHKテレビテキスト100分de名著
<2>よりつづく
「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」 <3> NHKテレビテキスト100分de名著
ロジャー・パルバース 2011/11 NHK出版 ムック 89p
1)数ある賢治の作品のうち、「銀河鉄道の夜」を代表作としてしまうことは可能なのだろうか。「雨ニモマケズ」や「風の又三郎」、「春と修羅」を初めとして、どれを中心とすればいいか、悩んでしまうほど、沢山の作品があり、また実に多様性に満ちている。
2)この番組では、「銀河鉄道の夜」について語り合う。この作品を中心において、宮沢賢治という人全体について考えてみようとすると、それはそれでできる。
3)私はなぜ私なのか。私はなぜあなたではないのか。いや、私はあなたである。森羅万象の中に私はいる。全ては繋がっているのだ。ベジタリアンだった賢治。動物たちにも、植物にも、風にも山にも星にも自分をみていた。
4)「何と云われても」
何と云われても
わたしはひかる水玉
つめたい雫
すきとおった雨つぶを
枝いっぱいにみてた
若い山ぐみの木なのである
5)水玉や雫、雨つぶや山ぐみの木、というところに、他のどんな言葉を入れても、この詩は成り立つのだった。
6)世界がぜんたい
幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない 「農民芸術概論綱要」
7)禁欲、という言葉はかならずしも賢治にはふさわしい言葉だとは思わないけれど、あのような生活態度でなければ、たしかに見えてこない世界があったはずである。
8)次回はいよいよ第四回。最終回である。
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