竜のはなし 宮沢賢治
「竜のはなし」
宮沢賢治/戸田幸四郎 1983/12 戸田デザイン研究室 絵本 1冊 Vol.3
No.0570★★★★★
1)図書館の「子どもの本のあんない」2011冬号のテーマは「竜」だった。
2)こわい竜、かわいい竜、恐竜・・・・。いろんな竜の物語が あつまったよ! 「BOOK TREE」 no.144
3)「ほしになったりゅうのきば」、「おまもりドラゴン」、「のんきなりゅう」、「タツノオトシゴ」、など、幼児向けの竜の本が20冊紹介されている。そればかりではなく、児童書にはコーナーまでできていて、紹介されていない本もたくさんならんでいる。へぇ~、こんなにあるのか。
4)と、あきれついでに一冊借りてきた。こちらの本は「竜」というだけではなく、「宮沢賢治」がキーワードである。賢治には「竜と詩人」があるから、それを翻案したものかな、と思ったが違った。もとは「ポラーノの広場」(角川文庫)に含まれる「手紙一」であり、了解を得て、改題したという。
5)戸田幸四郎の絵がなんともやさしい竜となっている。昼寝をしていた竜はやさしい気持ちで狩人たちに自分の皮を与え、虫たちに肉を与えてしまった。そして死んでしまう。
6)死んでこの竜は天上にうまれ、後には世界でいちばんえらい人・おしゃかさまになって みんなにいちばんのしあわせをあたえました。
このときの虫もみな、さきに竜の考えたようにおしゃかさまから教えを受けてまことの道に入りました。
7)なるほど、ブッタの前世の話しであったか、とは思うが、この話しは初めて聞いたので、これは賢治の創作であろう。そう思って、青空文庫を見ると、この後に数行つづいている。
8)このようにしてお釈迦さまがまことのために身をすてた場所はいまは世界中のあらゆるところをみたしました。このはなしはおとぎばなしではありません。
9)たしかに「このはなしはおとぎばなしではありません。賢治」とこの本にも巻頭に大きく書いてあった。
10)このお話を、童話や創作、あるいはブッタの前世、というだけで捉えてはいけない。これは実存のお話であり、読む者すべてにかかわる話しであった。
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