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2012/01/30

宮沢賢治祈りのことば 石寒太 <2> 悲しみから這い上がる希望の力

<1> からつづく


「宮沢賢治祈りのことば」 悲しみから這い上がる希望の力<2>
石寒太 2011/12 実業之日本社 単行本 223p

 ふりかえっていて、ちょっと変だな、と思った。当ブログのちょっと早すぎる賢治再読リストベスト10」が書かれたのは1月17日。こちらの「宮沢賢治祈りのことば」についての日記は1月11日に書かれたはずなのに、このリストに入っていない。かなりいい加減なリストだなぁ。見落としている。あらためて、やっぱり早すぎたな、と痛感。

 この本、たしかに突出したカラーはない。むしろ並みいるユニークな賢治本のなかでは目立たず、埋没してしまいそうだ。でも、ふりかえってみると、とてもバランスがよく、コンパクトでありながら、深い。私のような賢治ビギナーにもよくわかりやすい。きっと小学生以上の読者でも、この本の意図するところが理解できるだろう。

 ひょっとすると、高段者にも意味ある一冊と評価されうるのではないだろうか。「宮沢賢治幻想紀行 新装改訂版」2011/07求龍堂)もなかなか面白かった。こちらもなかなか読み応えのある一冊だった。元本はすでに17年程前にでているのだから、著者は一貫した賢治研究者であるようだ。

 3.11と賢治をダイレクトにつなげれば、この本になる。3.11に立ち上がる賢治、というイメージなら、この本で決まりだろう。そう思った。そして、まためくってみることになった。

 実にコンパクトだ。これで賢治が分かった気になる。賢治の賢治たることが分かったような気分になる。いまさら、3.11についてはどうこういうつもりはないが、あまりにも悲惨であるがゆえに、ついつい目をそむけたくなる。それはそれでしかたない。

 だが、しばらく目をそむけていると、いや、こうしてはいられない。やはり「行って」なんとかしなくてはならない、と思う。その時、何かの安全弁のように、そう、いわゆる命綱としての「絆」がほしくなるのだ。

 そんな、ライフセキュリティーとしての賢治が、この本の中に組みこまれているかのようだ。そういった意味では、極めて貴重な本だ。「祈り」が込められている。

 たしかに、3.11はこの小さな本だけでは解決しないし、賢治もまた、この小さな本だけで、分かった気になってはいけない。もっともっと多岐にわたる支線が張り巡らされている。だが、その為にも、基本的なポイントが必要だ。

 そういう意味でも、この本は「賢治と3.11」の原点を教えてくれる。この原点を確かめた上で、ここからさらに世界を広げていける。この本、今後もこの本をことあるごとに開いていくことになるだろう。

<3>につづく 

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