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2012/01/17

賢治と鉱物 文系のための鉱物学入門<2> 加藤碵一/青木正博

<1>よりつづく


「賢治と鉱物」 文系のための鉱物学入門 <2>
加藤碵一/青木正博 2011/07 工作舎 単行本 269p
★★★★★

 早いもので、当ブログとして賢治追っかけをはじめてからすでに60点ほどの資料に目をとうしたことになる。入手可能な資料は限りなくあり、全てに目を通すことなどできないが、すでに、現在の段階でも、再読したい本がでてきている。ちょっと早すぎるがリストアップしておく。

ちょっと早すぎる賢治再読リストベスト10

「正続 宮沢賢治素描」 関 登久也 (著) 1948/02 真日本社

「兄のトランク」 宮沢清六 1987/09 筑摩書房

「星座紀行 宮澤賢治 銀河鉄道の夜」 斎藤文一監修 加藤登紀子語り 1990/02 平凡社 VHS

「宮沢賢治の宗教世界」 大島宏之編 1992/01 北辰堂

「ゲーリー・スナイダーと宮沢賢治についての覚書」 富山英俊 現代詩手帖 1996/03

「科学者としての宮沢賢治」 斎藤文一 2010/07 平凡社

「宮澤賢治と幻の恋人」 澤田キヌを追って 澤村修治 2010/08 河出書房新社

「イーハトーブ悪人列伝」 宮沢賢治童話のおかしなやつら 大角修 2011/2 勉誠出版

「宮澤賢治イーハトヴ学事典」 天沢退二郎・他編集、2010/11 弘文堂

「賢治と鉱物」 文系のための鉱物学入門 加藤碵一/青木正博 2011/07 工作舎

 そして、この中にあっても、この「賢治と鉱物」はなかなかの出色の一作と言える。出版されたのがごく最近ということもあり、また、賢治の世界をよく分かっていないと理解することもできず、その意味することもよく分からない。

 ところが、賢治の世界に興味を持てば持つほど、この本の価値がたかまってくるだろう。すくなくとも、何気なく読み飛ばしている賢治の文章には、すくなくともこれだけのダブル・ミーニングがあったのだ、と気付かされる。

 賢治は一時まじめに人造宝石商になろうとしたことがあったようで、父親に一蹴されてその夢は消えたようだが、すくなくとも、まじめにそのことを考えるほどののめり込みを、この鉱石の世界に体験していたのだった。

 ただ、この本、私には高度すぎる。普通ならオタク的と言っていいのだが、この本の著者たちは、その道の専門家であり、なおかつ賢治ワールドのクラウドソーシングのエキスパートたちだ。オタクというよりは、アドバンスコース、あるいは、マスターコースの住人達による一冊なのである。

 賢治ワールドの、ベーシック・コースさえ、まだまだ序の口でウロウロしている当ブログとしては、あまり多くを望まず、ただただ、高き峰をあおぎつつ、ふもとにはふもとの楽しみがあるさ、と、スニーカーでウォーキングしているだけである。いや、まだまだ心構えができていないかも。まるで、まだサンダル履きのような気さえする。

 賢治がその作品の中に用いたモチーフはそれぞれに美しいのだが、現代の専門家から見れば、多少訂正の必要なことも少なくなく、その編を「鉱物学」的に訂正する。ある意味容赦ないので、賢治カルトの住人にはちょっとうるさい一冊になるかもしれない。

 もうここまで読み込まなくてもいいんだよな、という思いと、いやぁ、このくらいの知識を身につけて、ペダンティックに気取るのも、悪くないかなぁ、という思いが錯綜する。だけど、それには相当な努力が必要となりそうだ。少なくとも、石こ賢さんのように、小さい時からの学習と素質が必要となるのではなかろうか。

 しかしそれにしても美しい一冊である。ほとんどの頁がカラーで、ほほう、と納得する以外にない。科学と芸術の融合とはいうけれど、この本はその一冊に数えられるかもしれない。ここにさらに、意識の分野が加われば、鬼に金棒だなぁ。

 それにはやはり、「クリスタル・エンライテンメント」のような一冊を加えてみるのもありかもしれない。これらの世界を展開する賢治ワールドとは、まさにすごいものだなぁ。現実には東北石灰工場の営業マンとして、農業資材としての鉱物だけで終わったような賢治ではあったが、このような夢をその仕事の中にも見ていたのだった。

 最近ではレアメタルなどに対する関心も高く、需要も高まっている。傍らの石への関心が鉱物学へとつながり、地球全体への科学的アプローチへと繋がっていくのだろう。

 賢治が鉱物学者にならなかった本当の理由は、今となっては知るよしもありません。彼は石に深い興味を抱くと同時に、無類の人間好きでもありました。人間を俯瞰的に理解しようとする熱意も、はかない命への共感も人一倍強かったでしょう。

 それゆえに、客観性、再現性を重んじる冷静な科学研究の土俵は、少々窮屈に感じられたのかもしれません。ともあれ、鉱物学と文芸をかくも自在に融合させることは、賢治にしてはじめてなし得た境地であり、そのことを素直に喜ぶべきでしょう。p269青木正博「あとがき」

 この本、当ブログにおいて再読できるかどうか微妙なところではあるが、もし再読できるとすれば、それは、当ブログのある種の成長を意味することになるだろう。

つづく・・・・・かな?

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