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2012/01/22

THE DAYS AFTER 東日本大震災の記憶 石川梵


「THE DAYS AFTER」 東日本大震災の記憶
石川梵 2011/06 飛鳥新社 単行本・ムック 
Vol.3 No.0597★☆☆☆☆

 フリスビー犬、被災地をゆく」(東日本大震災、写真家と空飛ぶ犬、60日間の旅)にあまりに違和感を感じたので、こちらも見ることにしてみた。いろいろ考えてみたが、やはり、この一冊も当ブログとしてはDランクに属する一冊と断定せざるを得ない。

 セスナによる空撮の機会を与えてくれたのは「週刊現代」であるということもわかった。発売中の週刊誌にライフワークのひとつとして「地球の鼓動」というグラビアを掲載していることもわかった。だから、3.11直後にセスナ機で空撮できたのだ、ということはわかった。

 だが、一読者としては、この写真集はやはり、おかしい、と思う。

 この写真集が発行されたのは、震災後3ヵ月が経過した段階。この時点では、私はまだ週刊誌を見る気分にならなかったし、週刊誌を売っている書店も十分に開いていなかった。図書館ネットワークだって復興していなかった。

 この時点で、ハードカバーのグラビア写真集が出版されたことに、「被災地」の一人として、違和感を感じる。

 どうして「THE DAYS AFTER」という、かつての映画作品のタイトルを連想するようなタイトルがつけられたのだろう。どうして英語なのだろう。

 どうして、写真の説明がkesennuma とか minamisouma などとアルファベット表記されているのだろう。これは、外国向けに作られた一冊なのだろうか。

 被災地の個人名や写真、映像が、無造作に商品されていることに、罪悪感は感じないのだろうか。小学生の名札とか、結婚式の写真とか、車のナンバーとか、個人情報が、無造作に写されている。

  そして、どうしてだろう、と思うことは、この写真集が市内の図書館に所蔵されることになったのはともかくとして、早くも「書庫」行き、となっていることである。

 図書館としては、決して無駄な出費はしていないだろう。必要があると判断して購入したのならば、もっと市民に閲覧して、元をとることを考えるだろう。しかしながら、どうして、出版からわずか半年も経過しない段階で、この写真集は、「書庫」行きとなっているのだろう。

 これは、図書館スタッフが、私と同じような印象をもったからだろう、と私なら判断する。

 写真集としても、いちまいで、ハードカバーに綴じられなければならないような写真など一枚もない。感動をともなうような、重要なこれしかない、というような記録でもなければ、もちろん美的でもない。

 これは失敗作の一冊であるし、何故この写真集が失敗したかと言えば、その時、そうだったというより、普段から、この写真集を生み出すシステムが、こうだったのだ、というしかない。

 報道機関も、写真家も、猛省すべきであろう。

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