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2012/01/21

南方熊楠 萃点は見えたか・・・  谷川 健一/監修 VHS


「南方熊楠 萃点は見えたか......」 学問と情熱1
室田 日出男/ナレーション 谷川 健一/監修 1997 紀伊國屋書店 VHS 38分 
Vol.3 No.0596★★★★★

 自分の図書館利用技術もまだまだだなぁ、と思う。特に視聴覚資料の利用はぜんぜんなっていない。ようやくネットから取り寄せることのできる資料は増えたが、実は、所蔵館からしか借りることのできない資料もまだまだたくさんあるのだった。

 ということは、まずは最寄りの図書館の現物をもっとゆっくり見ることから始めるべきだろう、とようやく気がついた。そこで、なにげに目に入ったのが南方熊楠。彼もまた当ブログがやがては超えていかなくてはならない、大きな峰だが、なかなか手がつかない。

 ようやく先日「南方熊楠と龍 十二支考 1 」に手をかけたところだが、この本とて自室に何十年も眠っていた本である。面白いのは分かるのだが、あの難渋さを手にとるのは、なかなか気が重い。

 そんな時、ビデオで38分間の映像を見るのは楽しい。だいたいのストーリーは分かっていたとは思っていたのだが、昭和天皇が、熊楠に粘菌の講義の進講を所望し、その碑まで建っていたとは驚いた。

 賢治は、鉱物の世界から銀河の世界へと、ミクロとマクロを繋いでいたが、こと地球レベルとなると、エスペラント語を習っていた程度で、かならずしも外国語で自らを表現しきれていたとは思えない。

 かたや熊楠は、賢治に先駆けること数十年でありながら、活動拠点を海外にもち、外国語での表現をすることができた。ロジャ-・パルヴァ-ス「英語で読み解く賢治の世界」でみるように、賢治がもし英語が使えたら、という過去の可能性を考えてしまうが、熊楠は違う。

 柳田国男と親交をもちながら、遠野の民話などドメスティックな民俗にターゲットを絞りこんだことに対して、熊楠は激昂する。それでは地球レベルの視点は生まれないと。今となっては、その時代性を考えると、どちらもどちら、としか言えない部分があるが、2012年の現在、熊楠は、もっともっと学ばれる必要がでてきている。とくに当ブログでは読み進めなくてはならない、と思う。

 「みどりの党・・みないなもの」を熊楠と連想する夢想する中沢新一にしても、戯曲集で100の中から選びとった作品の中に熊楠を登場させる石川裕人にしても、熊楠に対する想いは熱い。

 今かかえているテーマがすこしづつ片付いたら、こちらのほうにすこしづつすり寄っていってみよう。それにしても、視聴覚資料活用は大いに役にたつ。

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