日本の大転換 中沢新一 <3>
「日本の大転換」
中沢新一 2011/08 集英社 新書 155p
エネルギーの存在論をエネルゴロジーとなづけ、第8次エネルギー革命を模索し、太陽と緑の革命を提案し、今こそ日本はよい機会を与えられたと認識し、いつのまに「私」を「私たち」と呼び変える。いつものパターンであり、別に目新しいものではない。よく考えれば、極めて陳腐なパターンの繰り返しである。
どんな状況になっても、歌い手は歌を歌い、写真家は写真を撮りたがるように、思想屋を思想を述べて流布させることが、自分の仕事だと思っているのだろう。
震災直後にまとめられ、すでに続編ともいえる展開軸が提示されている段階では、もうこまかく追求する必要もないが、通読してみれば、かなり穴ボコぼこぼこの観が否めない。この本は、誰が誰にむけて書いたものなのだろうか。
大学の教室において、教壇から学生たちに語りかけている以上の説得力はあるのだろうか。被災地にいった歌い手は、歌を歌う前に、まず泥かきボランティアから始めた。写真家は、まずお年寄りの体にさわり、マッサージをしてから、そのあとに、一枚いいですか、とことわってシャッターを押したという。
ましてや、産業界や行政などの、責任ある立場において、どれほどの説得力をもってこの提案がうけいれられていることだろう。私は正直言って絶望的気分に襲われる。
この本から欠如していること。個としての人間存在の有り様。超意識。死生観。
思想屋が思想を垂れ流すのに忙しいのであれば、瞑想家は瞑想し、神秘家は神秘に隠れるのが相応しいのだろうか。
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