春の先の春へ 震災への鎮魂歌 宮澤賢治「春と修羅」をよむ 古川日出男
「春の先の春へ」 震災への鎮魂歌 宮澤賢治ブックス
宮沢賢治/古川日出男 2012/01 左右社 単行本 61p
Vol.3 No.0648★★★★★
詩を朗読する人たちがいる。その人たちも3・11を、その立場で体験した。そして、鎮魂をしようとするとき、賢治の春と修羅の朗読を選んだ。
賢治を読んだからと言って、鎮魂になると思うのは、読み手側の、勝手な思い込みである。ほんとうにそうなっているかは、わからない。しかし、詩の朗読者たちは、それをやらずには、いられない。
この本は、詩集とみるなら、単に著作権のきれた賢治の詩の断片を編んだだけの、なんの変鉄もないアンソロジーにすぎない。その思い込みは思い込みとして、その情念が空回りしているようにも思える。
しかしながら、この本の特異性は、付録というべきか、むしろ本体として、一枚の詩の朗読のCDディスクをつけているところにあるだろう。
その出来のよしあしについては、異論あってしかるべきだろう。それぞれに、それぞれの賢治がいる。賢治を賢治たらしむるために、あえて賢治の原点にかえろうとする読み手もあるだろうし、賢治を我が物とするために、自らの声に変えようとする者もいる。
このCDは、あるいは、この朗読は、3・11への鎮魂として、賢治を朗読せずにはいられなかった人々が、すくなくとも、ここにもいたのだ、という切実な証左となって、くっきりと、残された。
| 固定リンク
「33)プレムバヴェシュの孫たちとの対話」カテゴリの記事
- OSHO ZEN TAROT <61> SUPPERESSION(抑圧)(2012.04.18)
- OSHO ZEN TAROT <60>UNDERSUTANDING(理解)(2012.04.17)
- プレムバヴェシュの孫たちとの対話 <31>孫の寝息とともに瞑想する(2012.04.17)
- OSHO ZEN TAROT <59> LETTING GO(手放し)(2012.04.16)
- プレムバヴェシュの孫たちとの対話 <30> プロジェクト567に向けて(2012.04.15)
コメント