図説密教の世界 正木晃
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「図説密教の世界」ふくろうの本
正木晃
2012/05河出書房新社
全集・双書
127p
Vol.3 No.0722 ★★★★★
別にスピリチュアリティとして密教を取り上げる必要もないし、仏教のもっとも最新的な理解は密教に依拠しているとしても、当ブログが密教に拘泥する必要などないのだ。
しかし、正木晃の新刊となれば、これは一度は手にとってみたくなる。正木晃関連リストは当ブログとしては未作成であったようだが(近日作成)、当ブログとしては彼の著書には多大な恩恵を感じている。
この本、評価に悩む。正木本人が書こうとしている本音の部分についてはレインボー評価してなんら問題はないが、これは「ふくろうの本」として、出版社の企画の中でつくられている本である。不本意な形で、網羅的に含めなければならない個所がいくつもある。だから、どうもその辺は蛇足的なので評価できない。
最後に、著者のチベット仏教の師であるツルティム・ケサン大谷大学名誉教授(1942~)の言葉を紹介しておこう。
「チベット仏教のレベルから見て、高く評価できる日本人僧侶は一人しかいない。それは空海である。」p125「近世・近代の密教」
21世紀以降における地球人のスピリチュアリティが、仏教に絞りこまれたとも限らず、また、ひとり密教たかしと決まったわけでもない。ましてや、チベット密教が避けて通れない不可欠なものとなってしまったわけでもない。
だから、別にここでツルティム・ケサンの言葉に引っ掛かる必要もないのだが、空海と言えば、今、聴きつつある、喜多郎や宮下富美夫の世界にも深く影を落としていることを忘れることはできない。
ブッダの悟りの世界は言葉で表わすことはできない、だから美術や象徴で表現する、とする密教が発達したのは、それはそれでいいとして、それを持ってして、密教重視も困ったもんだと、私なら思う。
そもそも、人間のさとりに、この本に書かれたような網羅的な知識を必要とすることはない。むしろ、時には邪魔になるだろう。正木晃という優れた現代の研究者の本としては無視できない一冊だが、このような網羅本を書かせなければならない出版社の事情とか、あるいは、読者の要求とかについては、私はあまり健全なものではない、と感じる。
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