白洲家の日々 娘婿が見た次郎と正子 牧山圭男
「白洲家の日々」 娘婿が見た次郎と正子
牧山圭男 2012/04 新潮社 単行本 p220
Vol.3 No.0727★★★☆☆
このような本が出版され、被災地と目される土地の図書館の新刊本コーナーに並び、その本に、一読者としてこちらの手が伸びる、ということは、3・11ショックから一年半が経過した、という、うれしくもあり、かなしくもある、私なりの日々である。
そもそもなんで白州次郎ファミリー関連を読み始めたのだろう。しかも、すでに25冊になんなんとしている。地球人スピリチュアリティを標榜する当ブログといかにつながっているのであろうか。
思い起こせば、某SNSで、Osho関連の93台のロールスロイスはどこに行ったのだろう、という話題に深入りしたことが始まりだった。手元の資料やネット上の情報、あるいは友人たちの書き込みなどを手がかりにその行方を探っていた。
そのとき、ジョン・レノンのロールスロイスとか、力道山のロールスロイスが視野に入り、やがて、白洲次郎のベントレーが見えてきたのだった。
次郎の前を、たんなるスノッブ、と通り過ぎることは簡単である。時代も違い、立場も違う。嗜好性も違えば、棲んでいる世界が違う。だが、この車つながりで考える時、Oshoのいうゾルバ性が、ムクッと首をもたげるのである。
グローバル性とは何も、地域だけのことではない。多様な嗜好性を持つ人々の中に、集合超意識を見ようとする場合、これらのゾルバそのものの次郎などは、見過ごす訳にはいかないのではないか、と思う。
そもそもは白洲正子のほうが先にブームとなって、ご婦人方に人気となり、そのつれあいとして、なんだか「素敵」な男性として登場してきたのが、白洲次郎だった。いろいろいじってみれば、これがなかなかすごい人で、だんだん男性族も目をとめるようになった。
それに乗じて、娘が本を書き、孫が本を書いた。そして今度は、娘の婿さんが本を書いた、という次第である。どうやら、このファミリーは現代の日本人の何かをつかんでいるようである。その証拠に、図書館にたくさん資料が入っている。
スピリチュアリティという意味では、むしろ、能や民芸や、陶芸などを通じて、仏教へと通じていく正子の方が、より深い世界を探求していただろう。だが、当ブログとしては、そこにたどり着くには、正子は、避けて通れない、というほどではない。
しかし、スノッブな次郎は、スピリチュアリティとは必ずしもいえないが、そのスノッブゆえに、なぜか避けて通れない、あるいは逆に引き寄せられるような魅力がある。
この二人が、なにはともあれ夫婦としてカップリングを組み、茅葺の民家に住んでいた、という風景が、何か、日本人的集合超意識に触れるのだろう。
娘婿が書いたこの本も、だからどうした、という身内のプライバシーの切り売り本に過ぎない。よくもまあ、身内のことをこれだけ書くもんだ、とも思うが、これはこれで、商品として成立しているのだろう。企画力の勝利であろう。
ただ一読者としては、パラパラと通り過ぎるだけである。そして、まずは関連本リストに一行加えておくことにする。
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