ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した 林信行
「ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した」
林信行
2012年02青春出版社
新書
172p
Vol.3 No.0743★★★★☆
ちょっとアイロニカルなタイトルではあるが、実際は最大限にジョブズを評価する評論者による、行きすぎたジョブズ偶像化を危惧する、迫真の一冊である。
当ブログにおいて著者の本は、「アップルとグーグル 日本に迫るネット革命の覇者」小川浩との共著 2008/04 インプレスR&D)、「進化するグーグル 世界を掌握する"未来戦略”」(2009/01 青春出版社)、「iPadショックiPhoneが切り拓き、iPadが育てる新しいビジネス」 (2010/5 日経BP社) などを読んできた。
当ブログにおいては、もう科学やIT関連の本を読むのはやめよう、と決断したのだが、テーマ「Meditation in the Marketplace」の進行上、またまた、こちらのほうに押し流されてきた。実は大変気になるし、読めばそれなりに面白いのだが、これではまたまた的が絞れなくなってしまいそうだ。
ジョブズの個性、あるいは特性は、まずはその生い立ちにあるだろうし、才能にある。そして、近くにシリコンバレーがあって、興味を持てるコンピュータ文化や、60年代カルチャーとの出会いがあっただろう。
その後も、ビジネスや経営者として卓越した実績を遺したのは、確かに本人の才能と努力によるものである。
マウスだって、GUIだって、あるいはネットミュージック配信だって、本当はジョブズが最初に発明したわけではないのだが、それをセンセーショナルなパフォーマンスによってビジネスラインに乗せた才能は卓越したものである。
私個人は、21世紀になってからのアップルは、あまり接点を持っていなかった。音楽中心の若者文化となり、老境を迎えんとする我が身とは、かなりのギャップを感じるようになった。
それでも、それらを指揮し続けるジョブズは同世代の騎手として、もうすこし生存していて欲しかったが、まぁ、これが寿命というものなのだろう。
彼の伝記を読めば、かなり権力志向で強圧的であるので、同じ職場にいることは私などには最初からできなかったであろう。だが、こういう強いリーダーシップをもった人間でなければ、これほどまでにイノベーションすることも出来なかったのも確かであろう。
この本に於いてはZENのことには触れていないが、マズローの自己実現のステップなどについては語られている。しかし、これらは後付であって、そもそもは、スティーブ・ジョブズという強烈な個性があってこそのアップルであった。
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