« 「『禅』の世界へ」 日経おとなのoff 2012年6月号<2> | トップページ | 2012年上半期に当ブログが読んだ新刊本ベスト10 »

2012/06/21

意識は傍観者である 脳の知られざる営み デイヴィッド・イーグルマン


「意識は傍観者である」脳の知られざる営み
スデイヴィッド・イーグルマン/著 大田直子/訳 2012/04 早川書房 単行本・ムック p368
Vol.3 No.0738★★☆☆☆

 「意識は傍観者である」。なかなか素敵なタイトルだ。長い旅路の結論としては、これで十分じゃないか。だが、神経科学者の著者は、その事実に驚き、戸惑いを見せる。あるいは、それを得意げに見せびらかす。

 原タイトルは、INCOGNITO The Secret Lives of the Brain。本来なら、「匿名 脳の知られざる営み」、ということになろうか。

 傍観者でも悪くないし、匿名でも悪くない。無名性、名づけようもないもの。それが意識である。「意識は傍観者である」。この結論はとうにでている。特に東洋においては、別にめずらしいものではない。

 あるいは、そこへ到達することこそ、人生の究極的な目的とさえされている。本書においては、たくさんの事例をあげながら、科学的アプローチでその結論に近づいていくが、それは、外的な思考を持っての飛行である。

 そのような結論を、言葉として得ることそのことが、西洋的姿勢の限界でもある。この素敵な結論を、自ら体感することこそ、いわゆる瞑想である。

 意識は傍観者である。だからどうした。そこからだ。それは当然のことなのだ。意識とは、丘の上の物見だ。路傍の傍観者であり、名前のない存在なのである。

|

« 「『禅』の世界へ」 日経おとなのoff 2012年6月号<2> | トップページ | 2012年上半期に当ブログが読んだ新刊本ベスト10 »

31)Meditation in the Marketplace1」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 意識は傍観者である 脳の知られざる営み デイヴィッド・イーグルマン:

« 「『禅』の世界へ」 日経おとなのoff 2012年6月号<2> | トップページ | 2012年上半期に当ブログが読んだ新刊本ベスト10 »