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2012/06/12

スマホは「声」で動かせ! 音声認識が拓く日本の未来


「スマホは『声』で動かせ!」音声認識が拓く日本の未来
鈴木清幸 2012/04 ダイヤモンド・ビジネス企画/ダイヤモンド社 単行本 205p
Vol.3 No.0728★★★★☆

 確かにスマホは便利だ。なにか調べ物があるとき、さっと開いてアプリボタンを押して、検索内容を声で伝えれば、すぐGoogleで検索してくる。デスクトップ機は当然のこと、ノート機でも、こう簡単にはいかない。立ち上がりの時間がどうしてもかかるし、自分の環境ではキーボードが必須となっている。

 ただ、この本は「スマホ」にウェイトがあるわけではない。「声」にウェイトをおいている。著者の肩書きは、株式会社アドバンテスト・メディア 代表取締役兼社長だ。音声認識システムのAmiVoiceという製品名がやたらと本文に登場する。

 よくよく考えて見れば、キーボードとマウスの入力システムは、一番ポピュラーで、もうなくてはならないものと思い込んでいるが、これが、いま、だんだん揺らぎつつある。ガラケーにせよ、出がけのスマホにせよ、私は、物理QWERTキーボードがついている機種を使用している。これが今のところ、一番いい。だが、それは本当にベストなのか。

 そもそも私は今でも納戸に英文タイプライターも和文タイプライターもしまいこんでいる、キーボードオタクなのだ。キーボードは大好きだ。もちろんマウスも不可欠だが、タッチパネルという奴はほとんど使えない。一時期は、IBMのスティック型のポインティングを仕様したが、時代はそれを片隅に押しやってしまった。

 そもそも1995年当時、あのウィンドウ95機を購入した当時でさえ、簡単なマイクと、文字変換装置がついていた。ワクワクしながら、パソコンに語りかけてみたものだが、見事にフラれた。ほとんど一文字も認識しないどころか、パソコン全体が固まってしまい、えらい迷惑したことが何回かある。あれ以来、音声認識など、私の用にはならないだろう、と振り向いたこともない。

 しかし、その当時から著者は、どうやらこの道一本できたようだ。株式会社アドバンスト・メディアを立ち上げたのは1997年。1952年生まれだから42歳の時だ。その以前からずっとこのテーマにこだわってきたようだ。

 たしかに、すでにスマホに搭載されている音声認識システムの精度は高い。私の使用範囲などは微々たるものだが、すでに「動かす」ことそのものが音声でできるようになっているのかもしれない。

 著者は、このレベルでとどまっている人ではない。医療用の音声認識システムとか、行政や高度なビジネスレベルでの音声認識システムの開発のイノベーターである。

 コンピュータと話すといえば、すぐに「2001年宇宙の旅」を思い出すが、少なくとも、あのHALとの会話レベルはもうすでにできているようだ。ただHALのような「意識」をコンピュータに求めるのはもっと先のことになるだろう。

 著者は、コールセンターのような、直接顧客からの「声」が集まる部署にも、この音声認識装置を投入することを企画する。ビック「声」の見える化だ。そもそも、メガ情報やビックデータの集積は、とてつもない勢いで進んでいる。ここに「声」が加わることによって、さらに、地球上の人間たちの動向が統合される可能性がある。

 この可能性を脅威と見ることもできるだろうし、あるいは、グローバルな超意識への布石と見ることも可能だろう。すくなくとも、同世代の人たちが、実業の第一線で、夢のようなシステムを具現化させている現代という時代には、本当に驚かされる。

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