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2012/08/22

『世界が日本のことを考えている』 3.11後の文明を問うー17賢人のメッセージ<2> 共同通信社

<1>よりつづく 


「世界が日本のことを考えている」 3.11後の文明を問うー17賢人のメッセージ <2>
共同通信社 2012/03 太郎次郎社 単行本 271p

1)最初はアントニオ・ネグリの名前でヒットしたので手にとった本だったので、他の部分を読むかどうかは後回しになった。ところが、むしろ、他の部分を読んでみれば、ごく期待通りだったネグリよりも、他の「賢人」たちのほうが、より興味深い反応を示していることがわかり、目を通すことになった。

2)この本自体は、極端な反原発・脱原発に彩られた本ではないが、潮流としては当然であろうというほどに、脱原発の兆候を示している。

3)もちろん、原発の有効性を唱える人物もいないわけではなく、その立場、その経歴からして当然の反応であろう、と見ることができる。ただ、いわゆる原発推進の座に居続けようとする人々は、団体や地域の「利益」の代表だったりして、まぁ、そう考えるのはやむを得ないのか、と思える範囲だ。

4)むしろ、ひとりひとりが、一個の「地球人」として発言を求められた場合、原発に好ましい言辞を捧げる人は皆無だろう。実際、個として発言している人々はすべて脱原発だ。

5)共同通信社が、3・11後に、その情報的機能を活用して世界の要所の人々の声を集めたわけだが、これはある意味、ネグリがいうところの、そして当ブログが夢想するところの、マルチチュードの在り方に示唆を与えていると思う。

6)これらの人々の意見は、決してネットで繋がったものではない。むしろ旧来の大手メディアや通信社による作業である。インタビューを受けた人々も、ヘビーなネットユーザーだとは思えない。ましてやハッカー的側面はすくない。

7)ただ、ひとりひとりの意見がコンパクトにまとまっていること、同時的に、ひとつの話題に集中して意見を述べていること。自分の意見を明確にしつつも、決して排他的に他の異見を抑圧していないこと。そして、最後には全体として、ある含みをもった統合性を勝ち得ていること。それが、地球大にまとめられている。これらの点が、いわゆるマルチチュード的である、と私なら思う。

8)これらの人々の中には、「瞑想」という単語を使う人もいるし、自らの宗教性を連想させる人もいることはいるが、多くはない。スピリチュアリティを標榜する当ブログとしては、これらの文脈の中の瞑想や宗教性をもっと細かに聴いてみたいところだし、むしろ、登場人物全員にそこのところを突っ込んでみたくなったりする。

9)よい本だと思う。タイトルから連想するよりも、シンプルでより広範なイメージが広がる一冊である。各論的には、いろいろ突っ込みたいところもないわけではないが、全体を考えた場合、結局は、結論としてこの本にまとめられたような内容になるのだと思う。ここから、さらに絞りをかけるのは、読み手としてのひとりひとりだ。自分自身が問われる。

<3>へつづく

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