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2012/08/21

騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実 小出裕章


「騙されたあなたにも責任がある 」 脱原発の真実
小出裕章 2012/04 幻冬舎  単行本 199p
Vol.3 No.0782 ★★★★★

1)氏の本をあえて重ねて読むまでもなく、その趣旨は一貫している。前回「原発ゼロ世界へ ぜんぶなくす」 (2012/01 エイシア出版)を読んだときも、今回この本を読んでみても、その印象はまったく変わらない。

2)この本も大人気だ。数カ月前にリクエストしたものがようやく私の番になった。私のあとにも沢山の予約が列をなしている。さっさと読んで、次の人に回そう。

3)あえてこのタイミングにこの本を読むことには大きな意義がある。当ブログは今、「地球の論点」のスチュアート・ブランドや、「ガイアの復讐」のジェームズ・ラブロック、あるいは「私たちの選択」のアル・ゴアなどを再読しようとしている。あるいは「人間の終焉」のビル・マッキベンなども一連の再読対象だ。

4)彼らの共通項は、環境保護派と思われていながら、実はすでに原発推進派へと「転向」していることである。その論拠はひとつ。地球温暖化の問題だ。それを避けるために、エネルギーを確保しようとしたら、この地球を救うのは原発推進しかない、というのである。

5)あらら、これは異なことをおっしゃいますな、と驚かれるのは百も承知で、彼らは確信犯的に「転向」していく。ビル・ゲイツなども、原発推進派だ。

6)科学的視点は重要と捉えている当ブログにおいても、なんだかかんだと言われているうちに、なんだか彼らの意見にも一理ありそうかな、なんて思い始めないとも限らない。この辺は、きちんととどめを刺しておく必要がある。

7)そもそも、これらの意見は無視してしまえばいいとは思うのだが、呉越同舟のこの「地球問題」、反対意見を無視するだけでは、乗り越えることはできない。まともに対応できるかどうかはともかくとして、まずは、誰がどんな根拠で何を言っているのかを、多少はさぐっておく必要がある。

8)それに比して小出裕章氏は一貫している。地球問題でもなく、温暖化の問題でもない。ひたすら原発問題である。そして、徹底的で容赦ない批判の目を原発に向ける。科学者でもなく、確たる論拠ももたない一読者としての当ブログなどは、反原発、脱原発の論拠として、氏の言説に依拠するところが大である。

9)この本における、他地方におけるガレキの受け入れ問題(p65)や、東北地方の農産物(p166)の取り扱いなどについて、被災地に生息する私としては、その意見はきつすぎるぞ、と思う部分もないわけでない。しかし、おおむね、まったくだ、と思うことがほとんど。

10)逆に考えると、いわゆる環境保護運動家たちの原発推進への「転向」や、一部の迷いは、3・11「前」に語られていることが多い。3・11という非常事態に遭遇した「あと」の現在、彼らは今でもかつてと同じ意見を持っているのかどうか、ということを当ブログなりに注意深く見ていたい。

11)そう言った意味においても、この著者の一連の研究や言説は、とても重い。転向派の彼らも「いや~騙されていましたぁ」なんて頭を搔き搔き、再転向、なんてことはそうそうないだろうが、この辺ですこし、当ブログなりに論理武装しておかないと、なにがなんだかわからなくなる。

12)とにかく氏の著書は、とても重要だ。

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