原発推進なら理論も仮説も噴飯もの ジェ-ムズ・ラヴロック/糸川英夫 「GAIA 生命惑星・地球 」
「GAIA 生命惑星・地球
」
ジェ-ムズ・ラヴロック著 糸川英夫訳 1993/09 NTT出版 単行本 205p
Vol.3 No.0795★★☆☆☆
1)ここでの読書は、ラヴロックにはこのような三冊目の著書があり、前二冊の「地球生命圏 ガイアの科学」 や「ガイアの時代」と違い、糸川英夫という人物に監修が移った、ということを確認すれば足りるだろう。
2)一目みてみると、松井孝典監修「ガイア 地球は生きている」(2003/08 ガイアブックス)と大差ないようなのだが、その二書が同時に手元にあるわけではないので、比較できない。いず比較してみる価値はあるかも。しかし内容的には、3・11後の読書という意味では、各論に入っていくほどの好事家にはなれない。
3)「監訳にあたって」で糸川英夫は、イギリスのラヴロックとの交友歴などを披露し、その親密度を誇っている。ラヴロックもまんざらでもない。この辺が、原子力ムラの住人・秋元勇巳などが「ラブロックを理解し、ガイア理論を正しく日本に紹介しようと努力した最初の著名人は、糸川英夫博士である。」ジェ-ムズ・ラヴロック 「ガイアの復讐」(2006/10 中央公論新社)p11、などとのたまわる所以であろう。
4)ここでの確認は、ラヴロックは原発擁護派であり、それは一貫した姿勢であった。そのガイア仮説や理論と言われるものは、科学の分野で語られるラヴロック個人の「仮説」なのであり、科学全体の結論として、原発は「有用」である、と結論づいているわけではない、ということだ。
5)今読み始めたばかりの松岡正剛「3・11を読む」 (2012/07 平凡社)においても、このラヴロックの変遷がいくつかの章に渡って語られている。3・11後に、3・11以前の本を酷評するというのは、後出しジャンケンになるので、あまり面白くはないが、それでもやっぱり、「一貫して」原発推進派であったとラヴロックに居直られると、それはちょっと困る。
6)少なくとも、ラヴロックが言うなら、私もそう考えるようにしよう、とは思わないし、むしろ、そういう結論に達する仮説や理論なら、そのネーミングや取り組みが如何に面白かろうと、彼のいう「ガイア」など、ほとんど魅力のないものに見えてくる。地球を癒す医者、などという概念は、実に噴飯もの、ということになる。
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