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2012/10/30

石川裕人『又三郎』 20世紀最終版 仙台演劇祭参加テント公演 2000

Mata
「又三郎」20世紀最終版 
石川裕人作・演出 2000/10 TheatreGroupOCT/PASS 仙台演劇祭参加テント公演 上演台本p130 石川裕人年表 
Vol.3 No.0843★★★★★

1)光の谷は東北の山奥のへんぴな村です。
もちろんそんなへんぴな村にも小学校はあり、子ども達が元気に、遊んだり勉強したりしています。
光の谷小学校といいます。その小学校も今度の冬休みが来るまでには廃校になってしまいます。もう四人の子どもしかいないのです。
なぜなら光の谷に都会のゴミを処理する工場が出来るのです。その工場は都会の一週間に出るゴミさえ一日で処分する能力を持っているようで世界的にも注目を浴びています。その工場建設のために村の人みんな立ち退き料をもらって出て行ってしまったのです。
さて、今日はそんな光の谷小学校の二学期の始業式です。
上演台本 p2

2)私はこの演劇を見たことがある。でも、どうも感じが違う。だいたいにおいて、このパンフレットを見たことがない。それに石川「劇作風雲録」(第十五回 21世紀を目前に。)に紹介されているこの「20世紀最終版」には、くろ丸なる犬まで登場している。やはり、私はこのバージョンではないのを視ているのだ。

3)だいたいにおいて、くろ丸は、ニュートン宅にいけばいつもいて、最近は死んでしまったが、いつもまとわりついてきたのだ。ところが、このくろ丸を私はステージで見た記憶がない。つまり、私はこの「又三郎」の1988年版を見たのであろう。

4)忘れないうちに書いておこう。彼ら夫婦には子どもがいなかったが、動物は大好きだった。犬も猫も飼っていた。今頃、あちらで彼は、くろ丸や歴代のペットたちと戯れているのではないだろうか。

5)この戯曲は宮沢賢治の全体像から力を得ました。

 12年前の5月頃だったと思う。賢治さんに憑かれたようにこの戯曲の初演版を書いた。ほどなくして苦難と歓喜の入り交じった旅の公演が始まる。なんにしてもその時の全ては今現在まで続く演劇の光栄だ。

 初演スタッフ、役者、全国の仲間達に改めて大きく感謝します。そしてこの改訂版上演に集う全ての方々にも光栄あれ!! 上演台本 p130

6)初演版は1988年に上演されている。「劇作風雲録」(第八回 ワープロで書き始める。)をみると、たしかに、こちらのチラシのデザインは記憶に残っている。私はこちらを見たのだ。たしかにこの演劇は面白かった。あめゆじゅとてちてけんじゃ、永訣の朝は、それこそ彼と唯一同級だった中学校一年の年代に、国語で習ったし、雨ニモマケズの詩も、今でもひととおりそらんじることはできるが、宮沢賢治は、好きとも嫌いとも言えない時代だった。でも、あの芝居をみて、とても賢治が気になり始めたことは確かなのだ。

7)彼の演劇を全部見ていたわけではないからなんともいえないが、これほどまでに彼が賢治にのめりこんだのは、あの1988年が初めてだったのではないだろうか。とするなら、1996年から始まる彼のPLAY KENJIシリーズはむしろ、あの1988年初演版から始まっていた、ということも可能ではないだろうか。そして、むしろ大型だったように思う。

8)この戯曲は宮沢賢治の全体像から力を得ました。上演台本 p130

9)という限り、全体として賢治ワールドにつながる世界観である。台本だけではなく、演劇全体として考れば、それはそれは賢治ワールドそのものだった、と言っても過言ではない。すくなくとも彼は「賢治さんに憑かれたようにこの戯曲の初演版を書いた。」と言っている。

10)今回、こちらの20世紀最終版を読んだわけだが、なにはともあれ、初演版を読む楽しみが増えた。

11)宮沢 僕は、僕の生まれた世界の涯まで精一杯走り抜けたい。宇宙とか、地球とか、人間とか、動物とか、植物とか、好物とか全ての目に見えるあらゆるもの、目に見えなくて気配だけで感じる万象を全て記憶にとどめたい。上演台本 p86

12)正直にいえば、彼が宮沢賢治と重なってくれている時が、一番、観客としての私は楽だ。楽しい。1988年といえば、もう私は単に一観客でしかない。しかも、行かなくてもいいし、行ってもいい、というような微妙に自由な立場であった。そういう時代(1988年)だったからこそ、この演劇のことを印象深く覚えているのだろう。

13)ふう、ようやく、80年代のエピソードをひとつ見つけた。

14)インディ 私たちの考えることは、幻想、妄想、夢の類いであろうと全て存在してしまうという原理です。だから自分の立てた一つの仮説をとにかく信じて当たってくだけろのスピリットで研究するのです。

宮沢 つまり、自分が宇宙だということですね?

インディ そうです。ただ思い上がりはいけません。宇宙はその姿を無関心に開いています。私たちはそこに精神をゆだねるのです。

宮沢 この光の谷に何かあるのですか? 上演台本p97

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