80年代の石川裕人
. 石川裕人年表
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1)おおよそ、70年代末までの石川裕人おっかけの第一回は、ほとんど一巡した。もうすこし細かい資料はあるし、場合によっては、もっと詳細にひとつひとつを取り上げない訳でもないが、それではあまりにもバランスが悪くなりすぎる。
2)さて、80年代に入っていこうとするのだが、正直いって、手持ちの資料がほとんどない。あるいは、人生の中での絡みがほとんどないと言っても過言ではない。
3)彼は、演劇工房跡のビルの中に自分たちのアトリエを構え、時には、テント公演を野外でやり、地方公演に出かけていった。団員は増え、スター役者も何人かでてきたようだ。評価も高くなり、仙台の演劇「界」にあっては、ひとかどの人物に見られるようになっていった。
4)それに対する私も、結局は病気上がりながら、東北大病院の裏手の元サウナビル跡に「瞑想センター」を開設、アメリカのコミューンに、仙台から21人の仲間たちとツアーを組み参加したりした。こちらも仲間が順調に増え、東北や全国のネットワークがつながりだした。
5)1983年には、私たち夫婦が結婚式をあげた。その時の司会は石川裕人ともうひとりの友達がやってくれた。だから、人間関係としては良好で、常に意識はし合っていたのだろうが、私が彼の劇団のスタッフになるということはあり得なかったし、彼もまた私たちの瞑想会に参加する、なんてことはなかった。
6)彼らは仙台市民文化事業団(あるいはその前身)などの後援をうけながら、その活動を拡大していったし、私たちもまた、独自のビジネスで、年商数億という業績を続けることができていた。今考えてみれば、これが私たちの「バブルの時代」であったのだろう。
7)1987年、ふたたび私はインドに向かうことになり、私たち家族4人は6月頃に旅立った。この頃、私は国内においてもカウンセリングの勉強を続けていた。彼が3・11後の2012年になって、支援ブログ「ココログ」の最後のインタビュー先となった「いのちの電話」などの相談員などもしていた。私は、その延長で、Oshoカウンセラー・トレーニング・コースを受けにインド・プーナに4ヶ月滞在したのだった。
8)そして、彼が1991年度の宮城県芸術選奨新人賞を受賞した時の受賞パーティーで、私は、たくさんの友人たちの祝辞の後で、「古い友人」として、やはり祝辞を述べる場をあたえられた。
1992/03 新人賞受賞パーティにて Photo(C)Saki
9)あの時、私はもう、「演劇人」石川裕人の最近の活躍など、評価できる立場になかった。私の彼との共同性は、小学校時代の学芸会のことだろうし、ニュートンというニックネームの由来についてあたりにしかなく、そのことを壇上から語った記憶がある。そして、最後には小学校の校歌を歌ったのだった。
10)私の中では、十月劇場が定禅寺通のアトリエから、河原町のアトリエに引っ越したのは80年代末あたりだと思っていたのだが、それは1992年になってからのことだった。
11)80年代の「石川組」は、カマチャン、ジュン、セイチャン、ミッコ、などに加え、ジロー、ギュウといった「若手」が活躍する、まったく別次元の世界へと成長していたように思える。
12)80年あたりで、最初のインドから持ち帰ってきた影響で、十月劇場中心メンバーのひとりであるカマチャンに、「演劇」性と「瞑想」性のクロスするポイントとしての「サイコ・ドラマ」などの活動を提案したこともあったが、私自身、その「演劇」性に疎かったので、そのような方向には、なにひとつ動いてはいかなかった。
13)この流れは、1995年の「教祖の鸚鵡 金糸雀のマスク」までつづくことになる。そして、そこからは、まったくの接点を失ってしまったかにみえる。
14)今回、石川裕人の逝去にともない、さまざまな記憶や記録をつなげようと思っている。私が積極的に語りうる部分のほぼ80%は終了した。あとは、80年代、90年代、そして21世紀における石川裕人像は、それぞれに関わった人々が自らの記録として語ってくれるのを楽しみにしたい。
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