阿武隈流域から蔵王連峰へ石川裕人が馳せた想い AZ9『転校生』 ~時の十字路の物語~
「転校生」~時の十字路の物語~
作/石川裕人・演出/米澤 牛 1997/02公演 AZ9ジュニア・アクターズ 宮城県大河原町えずこホール 石川裕人年表
Vol.3 No.0844★★★★★
1)神尾正太郎先生からバトンタッチしてアクターズの指導者となったのは仙台を拠点に活動する俳優 米澤牛先生。その演出第1作。
冬休みをあさってに控えた小学校に、転校生がやってきます。彼女の名前はさやさや。さやさやが学校にやってきたときから不思議な事が次々と起こります。 時が止まった・・・まさか? 今、時の十字路に僕たちはたっています。AZ9活動記録より
2)TheatreGroup"OCT/PASS"の活動として、現代現代浮世草紙集シリーズやPLAY KENJIシリーズをスタートさせながら、石川裕人は、実は、もうひとつ、この子ども達に対するシリーズをスタートさせているのだった。どこまで続くかわからないシリーズではあっただろうが、年一回の公演が16作続いていたのはすごいと言わざるを得ない。
3)葬儀のあとに、お母さんが「こうなるんだったら、もっと裕二の演劇を見ておけばよかったなぁ」とおっしゃった。そして「ほら、子どもたちがでてくるオペラみたいなの」ともおっしゃった。正直言って、私はこの活動をまったく知らなかった。おかあさんは2~3回見たという。
4)このシリーズについては脚本を石川裕人が書いて、渡部ギュウ(米澤牛)が演出という形だったので、石川本人の負担は少なかっただろう。そして、書く相手が小学生と決まっているので、シリーズとしては書きやすかったのかもしれない。
5)このシリーズについての上演台本も読んでみたいなとも思うが、今はもう、その痕跡をネットでたどれる範囲で満足しなければなるまい。
6)小学校4年生がオーディションやレッスンを受けて、やがてステージに立つという、子どもにとっても、親にとっても、夢のような企画に思える。石川裕人本人が小学校4年の時に、学芸会で主役を務めたり、人形劇でシナリオを書く楽しみに出会ったことを考えると意味深いものがある。
7)それにしても、AZ9(アズナイン)というネーミングも意味深い。仙南広域行政事務組合というお堅い組織ながら、このネーミングはなんともいい。
8) まずAZ9ジュニア・アクターズのことを説明しましょう。以下略してAZ9(アズナイン・編注)とします。AZ9は仙南地域の阿武隈川(A)と蔵王連峰(Z)の環境を共有する9つの自治体2市7町(白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、柴田町、川崎町、丸森町)の小学校4年生から6年生で構成された児童劇団です。石川「ココロ♡プレス」「震災を忘れない (大河原町)」(2012/01/29) より抜粋
9)ああ、いいなぁ、AZにはそういう意味があったのだ。これって、先日行った熱日高彦神社のいわれとつながってくる感じがする。アズナインというネーミングは、宮沢賢治のイーハトーブに連なるイメージの展開があるなぁ。
10)この児童劇団の足跡、追っかけてみる価値はある。楽しみだ。
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