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2012/10/21

楽しかった中学校時代 「吾輩は猫である(上)」を読んで 石川裕二(中一)

Masuda
「ますだ」6号

名取市立増田中学校生徒会 1967/03 学校文集 p64 石川裕人年表
Vol.3 No.0826★★★★☆

「吾輩は猫である(上)」を読んで 石川裕二(中一)

 吾輩は猫である名前はまだない。

 この文を読んだだけでこの猫がそうとういばっていることが、わかる。

 猫でありながら、中学生くらいの頭をもっている。

 自分でもそういっているのだから世話がない。人間のことが気になるのか主人の友だち寒月君の縁談ごときにいたっては、この猫。そうとうの活躍をする。

 まづこの猫が人間なら探偵くらいにはなるのではなかろうか。しかしこの猫君。世の中で高利貸しと探偵ぐらい下等な職は、ないと思っている。

 ジャア好奇心と冒険心があるので探検家ぐらいが適当だろう。

 一番傑作なのは、一回、もちでも食べてみようと思い、食べようか、食べまいかと思う。しかし、来年の正月までもちは食べられない、よし食べよう!

 そして食べたまでは、よかったが、もちが歯からとれない。もちは魔物だと思ったときはもうおそかった。主人と同じで割りきれない。

 エエイッめんどう。とばかり前足をもちにかけ、後足で立ち、おどりでは、ないが、主人や

子供たちは、そう思った。

 ここの場面は、ぼくの目にも見えるようだ。ついでにこの小説にでてくる登場人物で感じたことを書こう。

 まづ主人、苦沙彌君。名前にあわずのんびりというのか無関心というのか、何もたいしてもはなはだ無関心である。

 たまにだれかにしげきされ絵や俳句などをやるが、それもろくなのができない。

 おこり方も「バカヤロウ」しかしらない。もっとおもしろいところが、あるのだがまあこのくらいだ。

 次に迷亭先生。大ボラ吹き。なんでもかんでもウソにしてしまう。 

 こんな人もあったもんじゃない。

 そしてホラがばれても、どうてこともない。そうとう、キモッ玉が強いようだ。

 マアこのくらい。

 それからこの名ナシの権兵衛の猫の友達の三毛子の飼い主と来たら人間より猫の方が大事だ。

 漱石は、この小説で猫の口をかりて、その時代、人間などをおおいに批はんしている。

 例えば、土地について、人間は土地をつくるのに何も神に手伝ってもいないのに自分たちで「ここはおれたちの土地だ」なんてのはもっての他だというもの。

 これには、ぼくもまいった。

 猫ながらあっぱれ。

 最後に、これは、漱石の処女作であるが最高によくできていて、おもしろい。

 処女作でおもしろいなんていうのは、やっぱり、学問のつみかさねだと思う。

 下巻が楽しみだ。p57

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 石川裕人13歳(中一)の時の学校文集である。この時代から彼が小説を読み、「ウソ」について語っていたことに今さらながら気がついて驚いてしまう。

 彼の文章を探していて、自分の文章もみつかり唖然とした。こんな文章を書いたことを全く覚えていなかった。一読してみて、この時代から、なんと二人の作風(笑)が違っていたんだろう、と痛感する。彼は最初からやはり演劇作家になるようにできていたのだろう。

 私のほうは、なんともせいぜいノンフィクション・ライターを目指せるかな、くらいの力量しかなかったようだ。なにもどさくさにまぎれて自分の文までアップすることもないだろうが、まぁ、ここで二人の作風を比較するのも、一興かな。

 二人の距離が一番近い学年だった。僕は彼が大好きだったからね。この当時、二人は三年生を送る会で、10分間の漫才を体育館のステージでしている。この時、タイムキーパーなどの裏方を買って出てくれたのが、やがて東京キッドブラザーズやスリムカンパニーに行ったK(元木たけし)。

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「二口渓谷を見て」 阿部清孝(中一)

 5月23日、ゆうべからの雨で、せっかくの遠足もあやぶまれたが、バスは雨の中を出発した。

 バスの中では、せいぜい楽しもうというわけで、みんなはしゃいでいる。歌を歌うもの、話しをするもの、笑うもの、みんな楽しそうだ。

 一時間半もバスにゆられてついた所が、「秋保大滝」、とてもいいところだ。幅5メートル高さ55メートル、岩をたたく水の音が、数キロメートル四方にまでおよぶそうだ。

 予定を10分ほどオーバーして、二口温泉に到着した。さっそく温泉に入った。みんな楽しそうにお湯にひたっている。そしてあっちでもこっちでもお湯をひっかけっこしている。お湯は適当ないい熱さだ。あまり長く入っていてのぼせた人もいたそうだ。

 食事をすませてから、希望者だけで、磐司岩を見学することになった。山道を走ったり、歩いたりして、進んでいく。山道は似たところがたくさんあるので、同じ所を何回も歩いているような気がする。それにしてもずいぶん遠いところだ。ズボンにすっぱねを上げて走ってはみるがまだまだつかない。ふきをとりながら歩いている人もいる。

 自分の前にもたくさんの人がいるが、下のほうにももっと人がいるようだ。大きな水たまりをとんでみたり、すごいがけの所を逃げるように走り去ったり、そんなことをしているうちに、やっと磐司岩についた。

 約100メートルぐらいの高さの所に、出たり入ったりしてすごい姿を見せている。

 雲などをかぶっているところなんか実にすばらしい。

 帰りもあのおそろしく長い道をさっきの逆の方向に進んでいった。ほんとうに遠足だ。

 一日をふりかえってみて、本当にたのしかった。雨の日、出かけるのも楽しいものだと思った。p48

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