アンパンマンを卒業したら次はこれか ラリー・ザ・ケーブル・ガイ『カーズ2』
「カーズ2」
ラリー・ザ・ケーブル・ガイ ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント 2012/01 ポニーキャニオンDVD1枚 106分 【映像特典】 ハワイアン・バケーション/飛行機メーター
Vol.3 No.0810 ★★★★★
1)図書館から借りてきたDVDを見ようというのは、大体が、通常の読書に飽きてしまった時だ。しかも眠い時が多い。ましてや、今回「カーズ2」がこのタイミングで届いたのは、あまりよいタイミングではない。なんで今ころ?と思う。
2)期待もしていなかった前作「カーズ」に感動したのは7月のこと。夏真っ盛りの時だった。すぐこちらの「カーズ2」もリクエストしておいたのだが、先客がいっぱいで、ようやく私の番になってみれば、もう中秋の名月も過ぎて、上着の欲しい秋になっていた。
3)眠いままに枕元でDVDを再生したものの、すぐウトウトが始まった。なにやら音がうるさい時にばかり目がさめるので、カーチェスばかりの、つまらないDVDだなぁ、と最初は思った。見たのは、飛び飛びのほんの5分の1程度だったのだろうか。このまま返しちゃおうかな、と思った。
4)でもな、天下のピクサー作品である。何かあるはずだな、と思って、昨晩はまた最初から見直しをすることにした。
5)最近、私の世代はヨレヨレである。久しぶりにショッピング・モールで出会った遺跡発掘男は、もう前歯が一本しか残っていなかった。冬には仕事がない。スポーツジムの清掃男は、がん手術で退院したあと、また救急車で運ばれたという。昨日も図書館の新聞閲覧台に細い身を寄りかけていた。
6)ハイカラ・コピーライター男には、もう長いこと仕事がない。原発宣伝の記事を月1回書いてくれたら、一年間500万やるといわれているらしいが、さすがにそれだけは勘弁してくれ、と言っている。名もない雑誌にエロ記事でも書いて月3万もらっていたほうがまだましだ、と、飲み会の時にぼやいていた。
7)かくいう私も、最近はいろいろと勘違いが多い。一人で本でも読んでいるうちはいいのだが、一歩外に出てみると、なんだか、すでにマーケットからは排除されているような気さえする。ショッピング・モールには私の欲しいものがない。欲しくないものばかりが並んでいて、欲しいものが並んでいないのである。時代と、私は、大きくずれてしまっているのではないか。
8)そう思い直して、やはりこのDVDを見直してみることにした。車ばかりのこのCGアニメーションを見ていて思い出したのは、まもなく2歳になろうとする孫の男の子。先日までは、アンパンマンで持ちきりだったのに、最近は車に夢中だとか。パトカーやゴミ収集車にご執心だ。
9)先日は、秋の交通安全キャンペーンで、道路脇で「交通安全ナシ」配りをしているところを、大喜びで観劇していたら、ご褒美に安全協会の人が「交通安全梨」をくれたとか。
10)そうか、このDVDは、自分の趣味として見るべきものではない。今度孫が来たら、一緒に見よう、そういう気分で見ればいいんだな。
11)そう思い直してみれば面白くないわけじゃない。そもそもプロジェクト567の中心は、孫たちの世界だった。ここに未来がある。1歳児や2歳児の視点からみれば面白い。いやその親のアニメ世代だって、結構おもしろがるはずだ。われら爺さん婆さんの世代には、ちょっとうるさいだけで、疲れてしまうようなDVDではあるが、もし傍らで孫たちがキャッキャッと喜んでいたら、それはそれでまぁ、いいじゃないか。韓ドラや水戸黄門ばかりじゃ、世の中は進まない。
12)ピクサー追っかけもこれで11作目。このDVDと一緒にリクエストしていた「カールじいさんの空飛ぶ家」と「「トイ・ストーリー3」はまだ来る気配はないが、まぁ気長に待とう。
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