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2012/11/15

『宮沢賢治の心を読む(Ⅱ) 』草山万兎 <3>

<2>よりつづく 


「宮沢賢治の心を読む(2)」 <3>
草山万兎 2012/07 童話屋 単行本 189p    
Vol.3 No.0876★★★★★

1)草山万兎は霊長類学者、児童文学作家で理学博士である河合雅雄のペンネーム。それだけに、賢治の植物や動物などの項目についての説明がすごい。

2)コンパクトな文庫本サイズだがハードカバーの豪華本。今回配本に収録されたのは、「どんぐりと山猫」、「狼森と笊森、盗森」、「さるのこしかけ」、「林の底」、「洞熊学校を卒業した三人」の五篇。 科学者らしい解説がなかなか鋭く、貴重。

)「日本の国土の七割近くは、山地です。山地は、低い山で人間の生活にとり入れられている里山と、その奥の高い山からなる奥山に分けられます。奥山へは、普通猟師や木樵など山仕事をする人が入るだけで、一般の人はあまり近よりません。奥山は神々や仏様がおられる所dえ、信仰の霊山なのです。草山p21

4)人里、里山、奥山の分類は見事。賢治の世界には、奥山の動物たちはほとんど出てこない、というところが興味深い。

5)夕方は外にいてはいけない、とお父さんに言われています。夕方は逢魔が時と言われ、闇が迫るにしたがって天と地がつながり、天の魔と地の妖怪が仲よく跋扈する妖しい一時なのです。子どもが外にいると、子とり(子さらい)にさらわれ、サーカス団に売られてしまうよ、と聞かされています。草山p106

6)空間と時間の切り取り方が見事で、さすがだな、と思った。

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