高齢者俳優養成企画AgingAttack!!『石川裕人百本勝負 劇作風雲録』<5>
「石川裕人百本勝負 劇作風雲録」 <5>
石川裕人ブログ 石川裕人年表
1)劇作103本のうち、1971年の劇団座敷童子旗揚げから劇団洪洋社を経て、13年間続いた十月劇場解散の1994年まで24年間で、書かれた台本は43本。約年2本弱のペース。1995年からスタートした"OCT/PASS"は2012年まで継続しており、この18年の間に書かれた台本は60本、ということになる。年3本以上にペースアップしている。実に2倍に増加している。
2)当ブロブでは現在ようやく1981~1994年の十月劇場時代のバックボーンとして唐十郎を探し当てたところまでたどりついたところである。今後は、"OCT/PASS"時代の膨大な記録をもうすこし細かくみていこうと思っている段階だ。
3)この18年間を理解するには、まずは"OCT/PASS"本体で公演された34本を追いかける必要がある。だが、その前に、細かい支線をすこし理解しておきたい。そう思ってまずは気になったのが、小学生向けのジュニアアクターズ「AZ9(アズナイン)」への書き下ろし16本である。これらはネット上でも多少の情報はとれるので、全体をもうすこし追っかけることが可能であろう。
4)そしてこの子供向け演劇に対峙する形で存在しているだろうと思っていた、高齢者向け演劇「エイジング・アタック」だが、検索してみると、それほど多くの演目はない。
5)そしてこの(1997)年、高齢者俳優養成企画AgingAttack!!を始動させた。石川「劇作風雲録 第十四回 とんだバブル。」 2010/05/10
6)かならずしも公演のためのコースではなかったのかもしれないが、台本も書かれている。
7)57本目「むかし、海のそばで」は’97年に始動させたAgingAttack!!第1回公演のための戯曲。この企画自体全国から注目を浴びた。結構大変な作業だったがその分達成感も大きかった。石川「同上」 2010/05/10
8)なにやら「むかし、海のそばで」というタイトルも意味深だが、今は深追いをしない。
9)65本目「つれづれ叛乱物語」はAgingAttack!!の第2回公演戯曲(上演は2000年)。AgingAttack!!は第1回公演が大好評で女性も加わりメンバーは倍以上に増えた。終の棲家をテーマにして老人だけの住むアパート立ち退き騒動を描いたコメディ。これには”OCT/PASS"メンバーも大挙出演、世代間交流舞台としても話題を呼んだ。
しかし、AgingAttack!!プロジェクトは早すぎた企画と惜しまれつつこれをもって終了した。ただ、メンバー有志が新しい劇団をつくって活動を続けている。そして私は今年(2010年)から仙台市主催企画のシニア劇団構想に参画指導することになった。10年ぶりにシニア世代と芝居作りをすることになるが、私自身がシニア世代のとば口に立っていることを自覚しながらの挑戦になる。石川「劇作風雲録 第十五回 21世紀を目前に。」 2010/05/17
10)ということは、エイジング・アタックというプロジェクトは97~2000年の短期間に消えていったということになるのだろうか。高齢者を相手の指導はなかなか難しかったというパートナーの感想も聞いている。
11)’03年は79本目「阿房病棟」から始まった。名取文化会館主催の「名取突GEKI祭」2003プロデュース公演への書き下ろし。劇団やんまのメンバー3名、そして”OCT/PASS"から絵永けい、長谷野勇希。ゲストに小畑次郎さんというキャスト。この名取市民参加メンバーから次につながる活動を、と期待を込めて創ったが、あれから7年名取市はまだ文化空隙地区。前市長が遺した文化会館だけが堂々たる偉容を誇っている。石川「劇作風雲録 第十八回 ”OCT/PASS"に書かなかった2004年。」2010/06/07
12)彼の住まいがある名取市へのアプローチも散見される。どれだけの狙いが的中したのか、劇作者としての手応えはどれほどのものであったのか、後日、別立てでおっかけてみたい。今回のポスト3・11における閖上へのアプローチと合わせて考えてみると興味深い。
13)いずれにせよ、当ブログでは、この高齢者俳優養成企画「エイジング・アタック」の3本は、石川裕人の大いなる試みとして、ジュニアアクターズ「AZ9」への想いと併記して考えていきたい。
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