ベルヌ 『海底二万里』
「海底二万里」
ベルヌ 1983/02 講談社 大型本 国際児童版 世界の名作5
Vol.3No.0848★★★★☆
1)石川裕人「ノーチラス-我らが深き水底の蒼穹」の台本を机の上にあげておいたら、これにネモ船長はでてくるの?、と奥さんが聞いてきた。あれ、それってなに? たしかに「羅臼剛毅=キャプテンネモ」って、主人公らしき人物はでてくるようだよ。
2)そういえば、ノーチラスって、ロシアかどっかの潜水艦だと思っていたが、実は小説だったんだな。どうやら、我が家にもむかしからこの本があったらしい。子ども達が小さい時読んだ本だった。う~ん、相変わらず、私は文学的素養がない。
3)アナロクス教授とネモ船長の話は有名な話なのだ。この話を知らないことには、石川版「ノーチラス」もよくわからない、ということになるのだろう。なんせ、この話が下敷きになっているわけだからな。
4)ネモ船長! まったくふしぎな人物である。かれはいったいなにものなのだろう。世をすねた天才か。それとも政治革命で国を追われた科学者か・・・・。いずれにしても、わたしのいのちは、あの男の手ににぎられているのだ。8章「黒潮」
5)この本、リアルな絵がたっぷり入っていて、イメージ豊かである。さすがに国際児童版世界の名作シリーズだ。ノーチラスが「ナウチルス号」となっているところが、ご愛嬌だが。
6)これは、インド洋にしかいないとくべつなたこで、むかしは、ナウチルス(おうむ貝)などとよばれていた。だが、おうむ貝というのはまちがいで、今日では、アルゴノート、つまり、ふねだことよばれるようになっている。14章「しんじゅ貝」
7)そうか、ノーチラスとはおうむ貝のことなのか。
8)ネモ船長は後にクルーの多くを失い、孤島の洞窟にノーチラス号を隠し隠居をはじめたが、漂着したアメリカ人数人に自分の所業を語ると死去。ノーチラス号は遺言どおりネモ船長の棺として、彼らによって洞窟の底へと沈められた。ウィキペディア「ノーチラス号」
9)ニュートンが100本目の劇作として「ノーチラス」が書いて、そこに自画像を見たとして、それがもし彼の棺として洞窟の底へと沈められたとしたら、あまりにもなにかが符合しすぎるのではないか。
10)ネモ船長はさけんだ。
「わたしが自分だけのために財宝をあつめているとおおもいですか。わたしが、これをよいことにつかわないとだれがいいました。この地球上に、くるしめられている人、おさえつけられている民族、なくさめやふくしゅうをまつ人がいることをわたしがしらないとでもいわれるのか」16章「船長の黄金」
11)ジュール・ヴェルヌは1828~1905に生きた人。今から百数十年前にこんな小説が書かれていたなんて信じられない。さすがSFの父と呼ばれるだけのことはある。
12)するとネモ船長は、石のかけらをひろい、黒い大きな岩にこう書きつけたのである。
「アトランティス」
アトランティス! 大西洋にあって、ギリシャ人たちのさいしょの戦争のあいてだったという、あのいいつたえの土地。ここがそのアトランティスだというのか。
こうしてわたしは、なんともふしぎな運命にみちびかれて、その何千年もむかしの伝説の大陸の上をあるいたのだった。 17章「きえた大陸」
13)虚実がないまぜとなって、物語は進行する。
14)この物語には、うそもなければ、大げさなところもまったくない。それは、いまでこそ近づきがたいが、いつかは科学の進歩が人間に未来をきりひらいてくれるにちがいない世界についての、忠実な物語である。
人はこれを信じてくれるだろうか。それはわからないが、そんなことはどうでもいいのだ。とにかくわたしには、それをものがたる権利がある。なにしろわたしは、ここ十か月以内に、実に海底二万里(やく八万キロ)の旅行をなしとげたのだ。
だが、それにしても、あのナウチルス号はどうなったのだろう。大うずまきの圧力にたえられただろうか。ネモ船長はいまもいきているのだろうか。 24「むすび」
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