寝かせておくと旨くなる本? 池内紀『二列目の人生 隠れた異才たち』
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「二列目の人生 隠れた異才たち 」
池内紀 2003/04 晶文社 単行本 p230
Vol.3 No.0884★★★★☆
1)24)池内紀「二列目の人生 隠れた異才たち」は今まで全然知らなかった人たちのプロフィールでいっぱいだ。何故二列目かといえば卒業写真などの記念写真になぞらえられている。写真の一列目は先生やクラス委員、優等生などが座るが、二列目から後ろは普通の人々。だが、なにか一癖、二癖持ってる奴らが勢揃い。つまり、南方熊楠が有名なら同じようなことをした大上宇市。ラフカディオ・ハーンにはヴェンセスラオ・デ・モラエス。料理人・北大路魯山人には中谷巳次郎。宮澤賢治と宮城県大河原出身の詩人・尾形亀之助などなど、もう一人の誰某16人が異彩を放って登場する「石川裕人劇作日記時々好調」2007.06.17 Sunday
2)石川は、この本を出版当時の2003年に購入しているが、四年間積ん読しておいて、2007年になってから読んだようだ。
3)ゆたかな才能と勤勉さ、自ら編み出した方法。全て一列目の人たちに負けないものを持っていたが、貧しさ。チャンスを逃した。世間と妥協しなかった。意固地。世の流れにまかせず自分の世界を大切にした。そんなこんなで二列目の人生を送ることになった人々だが、それは多くの人々の生き方でもある。共感を持って愛おしめる本である。’03年初版の本、買っておいたが今頃読んだ。寝かせておくと旨くなる本がいっぱいある。「石川裕人劇作日記時々好調」2007.06.17 Sunday 寝かせておくと旨くなる本。
4)他人の読書リストにつきあうというのもなかなか難しい。石川の7年間のブログに登場する本の数も数え切れないほどある。一冊一冊感情移入しながら読むにも限界がある。そのような本を読んでいたと確認できればまずまずいいようで、本の存在、本の感触まで確かめるまでに至らないことも多い。
5)それは、「読書ブログ」としての当ブログの反省でもある。自分の記録になったとしても、よそ様に読んでいただくということはただごとではない。まぁ、自分の防備録のようなもんだ。私は私なりに、この本にある期待を持っていた。
6)ここに登場する尾形亀之助は要チェック。石川が最初の劇団名に使った「座敷童子」の命名理由はまだ解明されていない。そのヒントがある可能性がある。当ブログ2012/11/16
7)という目論見を持っていたものの、それはすこし見当違いであったかもしれない。尾形亀之助は作家だ。民俗学者のような存在ではない。青空文庫で、彼の作品は読めるようだ。この人の名前は、ちょうど一年前、大河原町の「佐藤屋プロジェクト」のイベントに誘ってくれた友人に先日教えてもらった。
8)ところで、まったく別次元の話になるが、賢治の文がいきなり引用されていた。そこのところがちょっと気になった。
9)「この一生の間どこのどんな子供も受けないやうな厚いご恩をいただきながら、いつも我儘でお心に背きたうとうこんなことになりました。今生で万分の一もつひにお返しできませんでしたご恩はきっと次の生、又その次の生でご報じいたしたいとそれのみを念願いたします・・・・・」本著p156
10)これは賢治が東北砕石に勤めながら東北一円から東京まで足を伸ばしていたころに書いたとされる「遺書」の一部である。
11)石川は、冗談とことわりつつ、自分は賢治の生まれ変わりだ、と公言することがたびたびあった。もし石川が賢治の「次の生」であったとしたら、あの「恩」は返せたのだろうか、と、ふと思う。
12)以上の経緯から、他の15人についての記述は今回割愛する。この本は、私にとってもいつの日か「寝かせておくと旨くなる本」として醸成されるだろうか。
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