金網デスマッチとアングラ・サーカス 増田俊也 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 <1>
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「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」 <1>
増田俊也 2011/09 新潮社 単行本 701p
Vol.3No.0854 ★★★☆☆
1)この本のタイトルは、当ブログにおけるこのタイミングとしては、いかにも唐突な感じがする。しかしながら、本当はそうでもない。当ブログではすでに力道山おっかけを4年ほど前に完了しており、約20冊ほどに目を通している。
2)そのきっかけはOshoのロールスロイスを追っかけていた時に、「力道山のロールスロイス」(1982/06 グランプリ出版)という本があることに気づいたことだった。入手しにくい本ではあったけれど、なかなか面白い本だった。
3)そして、当ブログとしては、この二台に、ビートルズのロールスロイスを加え、三台のいわれについての比較などをして、遊んでいた。
4)そんないきさつがあり、新刊本リストにこの力道山関係の本があったので、数ヶ月前にリクエストしておいたのだが、人気本なので、ようやく今頃になって、私の番になったということである。
5)そんなわけで、ようやく辿りついた本ではあるが、なんと701ページという分厚い本である。しかも、この本のタイトルから分かるように、力道山との試合に「負けた」木村政彦の弟子筋のルサンチマンがこもりにこもった一冊である。さて、当ブログで、どこまで読み込むかは難しいところだが、新しく当ブログの力道山関連リストに加えておくことはやぶさかではない。
6)と、ここまできて、そういえば、石川裕人の演劇リストの中に「周辺事態の卍固め」(1999年公演)という演目があったことを思い出した。けっこう、みんなプロレス、って好きなんだなぁ。

7)どんな内容の芝居だったのかは、今後チャンスがあれば、またトレースするとして、もうひとつ石川裕人関連で感じたことがあった。
8)今回のテキスト、唐さんの「役者の抬頭」の中に、こういうフレーズがある。
<例えば、今、大事変でも起こって君のペンがなくなっても、君のカメラが失われても、君がまだ生きているならば、肉体だけは残っているだろう。その時、ただ一本の火さえあれば始まるのは演劇なのだ。>
このフレーズの中にわたしらが震災後に被災地を回り始めた原点がある。それを高校生諸君に見てもらいたかった。芝居は無一物でも出来るということを示したかった。「石川裕人劇作日記時々好調」2012/07/25
9)ここで、石川は「芝居は無一物で出来る」と自負している。でも本当だろうか。たしかに70年代の初期においては、彼の演劇はほとんど「無一物」の突撃演劇だった。しかし、70年代を経て、80年代に突入したところで、彼の演劇は、どんどん大型化した。
10)例えるなら、最初、草っぱらで取っ組み合いで戯れていたのに、だんだんとリングが必要となり、次第にショーアップして、シナリオができあがり、最後は、反則技などを通り越して、金網デスマッチまでいってしまっていたのではないだろうか。
11)テント興行というキャラバン隊の演劇団と化した80年代の石川率いる「十月劇場」は、まさに金網デスマッチだったのではないか。
12)そして、その重さに耐え兼ねて、90年代以降の彼はその十月劇場を超えるために、もっとコンパクトはオクトパスへと移行していったのではないか。
13)しかし、晩年、彼は結局、彼いうところの「アングラ・サーカス」という「金網デスマッチ」へと回帰しようとしていた気配がある。
14)演劇とは、無一物でもできるといいつつ、結局、舞台や、キャラバン、大道具という「有物」を使わざるを得なかった彼の「演劇」性は、「瞑想」性へと昇華することを拒否していたかに見える。
15)もし、本当に彼が無一物の演劇を目指したのなら、それは必然的に「瞑想」性へとたどりついたのではないか。そこに彼はいくことができなかったのではないか。と、そういう仮説を残しておく。
16)そして、それから、この「木村政彦は~」を、本当に読むかどうかを、すこし考えてみよう。
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