石川裕人劇作の円環を閉じる 『演出家の仕事』 六〇年代・アングラ・演劇革命/日本演出者協会/西堂行人<1>
「演出家の仕事」 六〇年代・アングラ・演劇革命 <1>
日本演出者協会/西堂行人(編) 2006/02 れんが書房新社 単行本 p269
Vol.3 No.0881 ★★★★☆
1)「演出家の仕事 60年代・アングラ・演劇革命」日本演出者協会+西堂行人と「昭和の劇 映画脚本家 笠原和夫」という本を購入。どちらもいぶし銀のようで現在に直結するテーマを扱っている。(中略)そして実際今現在の愚生を作ったとも言える出会い、寺山修司さんと東由由多加さん。まだ17歳くらいのガキの頃、一緒にこたつ囲んで芝居の話、家出の話、ロック・ミュージカルの話など尽きることなく話しをした。
話しをしたのは彼らで愚生はずっと聞き入っていたのだが、寺山さんが例の口調で愚生にこう言った。「あのね、顔の大きい人は座長になれるよ。」あのまま寺山さんの所、天井桟敷に家出してたら今頃どうなっていたのかねえ。東京キッド・ブラザーズまではたどりついたのだが…。修業時代の面白い話しはいっぱいくさるほどある。また今度。でも本の方は元気のない時のビタミン剤のような本だなあ。「石川裕人劇作日記時々好調」2006年 5月16日 (火).......「アングラ芝居検証本。」
2)この本はすでに6年以上も前の本である。現在のところ三巻まででているようだ。今回はこまかくは読まなかったが、3・11後の2012年になっても、石川裕人は、これからやりたいこととして、「アングラ・サーカス」を語っているので、彼にとっては、アングラは先祖帰りであり、また彼がすでに肉体を離れてしまったことを考えれば、ひとつの円環が閉じられる部分に存在している重要なポイントということになろう。
3)石川は、何度も、「中学校時代は楽しくなかった」と語っているが、彼の中学校時代は、1966/04~1969/03の間。じつは、この時代こそが、この本に書かれている「六〇年代・アングラ・演劇革命」の時代でもある。東北の田舎に通う中学生にとってはアクセスしがたい文化状況であった。だが、いずれにせよ、70年、71年と、自分の臭覚でこの文化状況へとアクセスしていくことになる。
4)日本演出者協会編集の「演出家の仕事」③が発行された。この巻は80年代・小劇場演劇の展開で、巻末の80年代より活躍する演出家リストに僭越ながらわしもアップされた。書店にて立ち読みしてください。「石川裕人劇作日記時々好調」2009.10.17 Saturday
5)残念ながら、この「演出家の仕事③八〇年代・小劇場演劇の展開」( 2009/10日本演出者協会 )は近隣の図書館には入っていない。しかし、当ブログとしては、80年代の石川裕人追っかけ上から考えれば、必読書の書である。近日中になんとかしようと思う。
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