池田純一『ウェブ×ソーシャル×アメリカ』<全球時代>の構想力<5>
「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」 <全球時代>の構想力<5>
池田純一(著) 2011/03 講談社 317P
★★★★★
1)本書はすでに5読目である。スティーブ・ジョブズ追っかけの途中で、当ブログのアンテナに引っかかった一冊であったが、なかなか咀嚼するまで時間がかかった。
2)そもそも、当ブログは、ネット関連でスタートしたにもかかわらず、ネット関連はもう読むまいと、一時決意したのだった。しかしながら、人生というものはままならず、そう決意したのにも関わらず、何度もなんども、ネット関連に引き戻されてくる。
3)今回は、ジョブズのZEN、というモチーフだったが、結局は、禅→アップル→ネット社会、と引き戻された。もう、意図的に、終わったの、関係ないのと、言うべき段階は過ぎているのかもしれない。目の前にやってくるものとは、それなりに関わって、丁寧に見ていく、という必要があろう。
4)最初、この本を手に取った時は、4冊くらいの本の内容があると思った。それだけ多岐にわたる内容を含んでいた。最初はやはり関心があるところだけ読み込み、関連のリンクを追っかけた。次に本としての全体を読み込み、著者なりの意図をつかもうとした。そして自分なりの納得なり、反論なりがでてきて、最終的には、だいぶ読みなれたものとなって、まずまず、この本は読みこんだな、という気分まで持ってきた。
5)もちろん、関心が持ちようのないところもあるし、意見を異にするところもあるが、五読目となると、一冊の本として、味わうことができるようになった。たぶん、これで当分は、いいだろう。
6)この本を書く上で書き手の側のモチベーションとして三つの言葉を想定していた。三つの制約条件といってもいい。そのひとつが一つがnonlinear、ノンリニア=リニアではない、というものだ。(中略)
三つのモチベーションの残りの二つはrevisitとprovocativeだった。p310 「あとがきに代えて ウェブ時代に本を書くということ」
7)直訳すれば、非直線的、再訪的、議論喚起的、ということになるのだろうが、当ブログにおいては、まさに、「まんまと」著者の手口に乗せられてしまった、ということができるだろう。
8)たしかに本著は直線的ではない。最初4つの本がある、と感じたほど、輻輳したテーマが、渾然と、しかも捻じれの位置にあるようなテーマが同時進行していた。そして、何度か再読しつつ、当ブログの読書歴も振り返るチャンスにもなった。最終的には、スチュアート・ブランドやラブロックなどの言説に対しては、かなりキツクかみつきたくなったので、たしかに議論喚起的であったともいえる。このブランド=ラブロックあたりの原発に対する姿勢については、今後の課題として残っている。
9)ただ、五読してみて、痛感したのは、このような「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」という舞台設計の中で、一人の象徴的な人物を思い浮かべよ、というなら、やはりスティーブ・ジョブズという「存在」をイメージすることが大切だな、ということだった。
10)この本が出版された直後に3・11は勃発し、あるいはスティーブ・ジョブズは56歳と7ヶ月の人生を閉じた。一つの時代が終わったのであり、一つの時代が幕開けしたのだ。
11)私にとっては、このウェブ時代を象徴するのはツイッターのザッカーバーグでもなければ、グーグルのラリー=ペイジでもないだろう。ネット上の新しい潮流には注目しつつも、私ももはや年老いたひとりの前時代的人間でしかない。これからの時代は、これからの人たちが生きていくのだ。ジョブズの死とともに、私の中でも、何かが終わった。そういうことを、この本を読んでいて、つくづく痛感した。
12)なにはともあれ、この本は面白かった。
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