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2013/03/04

『ウェブで政治を動かす!』 津田大介 <3>

<2>からつづく 

「ウェブで政治を動かす!」 <3>
津田大介 2012/11 朝日新聞出版  新書 296p

1)なぜ、多くの人が政治=政局をイメージするかというと、テレビや新聞、雑誌の多くがこの政局報道に割かれているからにほかならない。そして、こうした政局通信の報道は「政策」に興味がある人間にとってはクソつまらないものでしかない。

 情報リテラシーが高い層は、新聞やテレビといった既存の伝統的マスメディアに否定的な人が多いと言われる。それはこうしたマスメディアの政治報道が政局中心の報道に終始していることも一因になっている。

 これでは政治的無関心になるのも仕方がない。われわれは「無関心になっている」のではなく、メディアによって「無関心にさせられてきた」のだ。p5「はじめに」

2)さて、当ブログは、Vol.1の1024冊、Vol.2の1024冊を経て、現在Vol.3の931冊目に到達している。残り90冊ほどでVol.3も1024で終了し、大きなポイントに差し掛かる。

3)結論としては、Vol.1は、ネット利用の決意とネット自我の確立、Vol.2は、方向性の確認と、ブログ環境の整備、そしてVol.3は、コンテナ、コンテンツ、コンシャスネスの基層性と、その限界について確認しつつある、と、言えるだろう。

4)当ブログは、Vol.4に突入するだろうか。いままでは便宜上、Volで区切ってきたが、今後はどうも、その区切りを必要とするのかどうか微妙な流れになってきた。Vol.3が終了したら、1024×3=3072冊読了とし、その次はTotal No.3073として再スタートし、無期限に続けていこうかとも思う。

5)つまり、読書ブログとしては、もうあとは自然体だ。ごくごく日常的な総合的な断片を書き続けるだけで、もはやいいのではないか。そういう予感がする。

6)そして、その予感の中で、どうも目の前にゴロゴロしている単語がいくつかあるようだ。まず、ネグリ=ハートの「マルチチュード」がある。社会主義圏の崩壊のあと、その「亡霊」たちを受け継ぐかのように、浮遊している。そして、ネット社会の成熟を待って、「<帝国>」との対峙構造を構築しようとしているかに見える。

7)そして、ドゥルーズ=ガタリの「レジューム」や「ノマド」の概念がちらちらする。当ブログにおいては、まだ追っかけ不足であり、また、根本的な部分で、どこか方向違いであるようにも思う。

8)そして、「ノマド」つながりで、ごくごく最近気になりだしたものに、ジャック・アタリの一連の未来のビジョンがある。こちらは、小説などの多様な表現が使われており、想像力豊かなイメージは広がるのだが、いまいち実態がつかめない。

9)そしてこのところ、一種の流行語とさえなっているらしき「ノマド」あるいは「ノマドワーカー」を追っかけてみると、最新のモバイルIT機器をマニアックに使いこなす「ビジネスライフ」を標榜しているように見える。どうもこれも、いまいち食い足りない。

10)ともすると、これまでの当ブログの軌道からはずれているかに見えるこれらのテーマ群を無視して、当ブログはフェードアウトしていくのがいいのではないか。これは、まず、ひとつのスタイルではある。

11)二つ目としては、むしろ、この「無関係」として切り捨ててしまいたい物事どもと、あえて積極的に絡みこんでいく、ということも考えうる。それは現在進行形のカテゴリ名Meditation in The Marketplaceにもつながってくる。コンシャスネスに隠遁してしまうこともひとつのスタイルではあるが、それらの「無関係」な物事どもなかで、意識的に生きる、これもまた、当ブログに残されている重要なライフスタイルであろう。

12)当ブログにおいては、本のタイトルでいうと、「革命」と「進化論」というやつに、ハッとして気を取られることが多い。

「地球の家を保つには エコロジーと精神革命」ゲーリー・スナイダー(1975/12 社会思想社)

「IT革命 ネット社会のゆくえ」西垣通(岩波書店 2001/05)

「日本発イット革命」奥野卓司(2004/12 岩波書店)

「昔、革命的だったお父さんたちへ―団塊世代の登場と終焉」林信吾他(2005/09 平凡社)

「戦うコンピュータ 軍事分野で進行中のIT革命とRMA」井上孝司(2005/09  毎日コミュニケーションズ

「革命メディア ブログの正体」伊藤穣一他(2006/3インデックス・コミュニケーションズ)

「演出家の仕事 六〇年代・アングラ・演劇革命」西堂行人編(2006/02 れんが書房新社)

「シマウマの縞 蝶の模様  エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源」ショーン・B.キャロル (2007/04 光文社)

「さらば、“近代民主主義”  政治概念のポスト近代革命」アントニオ・ネグリ( 2008/01  作品社)

「ウィキペディア革命」ピエール・アスリーヌ (2008/07 岩波書店)

「ルポ米国発ブログ革命」池尾伸一(2009/06  集英社)

「ツイッターでビジネスが変わる! グーグルを越える情報革命」ジョエル・コム(2010/01 ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「クラウド時代と<クール革命>」角川歴彦他(2010/03 角川書店)

「タブレット革命」松村太郎(2010/09 アスキー・メディアワークス)

「ウェブで学ぶ―オープンエデュケーションと知の革命」梅田望夫他(2010/9 筑摩書房)

「脱原発成長論  新しい産業革命へ」金子勝(2011/08 筑摩書房)

コモンウェルス <帝国>を超える革命論」アントニオ・ネグリ他(2012/12 NHK出版)

などなど、数限りない。

13)進化論においても、当ブログの基礎となった本をはじめ、たくさんある。

人間に可能な進化の心理学」P.D.ウスペンスキー (1991/03 めるくまーる)

「シュタイナーの宇宙進化論」西川隆範(1991/12 イザラ書房)

「電脳進化論」立花隆(1993/2 朝日新聞社)

「エニアグラム進化論」前田樹子(1994/04 春秋社)

「意識の進化と神秘主義」セオドア・ローザク(1995/09 紀伊国屋書店)

「ウェブ進化論」梅田望夫(筑摩書房 2006/02)

「ブログ進化論 なぜ人は日記を晒すのか」岡部敬史(2006/4 講談社)

「テレビ進化論」境真良(講談社 2008/04

「ツイッター社会進化論」金正則(2010/10 朝日新聞出版)

「超保険進化論」中崎章夫他(2012/12 績文堂出版)

などなど、いちいち数えていると、キリがない。

14)どうしてここまで出版界は「革命」と「進化論」が好きなのであろうか。ある一定程度のマーケットのニーズがあるに違いない。あるいは、数ある書物の中の、特にこれらの本に惹かれていくわがブログの特性が、ここあたりに隠れているのかもしれない。

15)そして、気づくことは、これらの本の中のキーワードとしてあるのが、いわゆるネットやウェブ、ITといった、現代の情報革命との関連である。

16)最近、「ノマド」あるいは「ノマドワーカー」というキーワードで何冊かの本を読んだ。現在でも増え続けていて、毎週出る雑誌類の目次を確認してみると、つねに何冊かで特集されている。つまりモバイル環境が進化して、新しいビジネスライフができましたよ、それを「ノマド」と言いましょう、ということらしいが、どうも当ブログはそのことだけでは納得できない。

17)ある意味、この本の著者である津田大介などは「ノマドワーカー」の元祖みたいなものだろう。つねに動きながら、しかも生産的ななにごとかをやり続けている。儲かりますよとか、ハワイに別荘を持ちましょうとか、そういうことは、まぁ、どうでもいいことだろう。すくなくとも、当ブログでいうところの、「革命」や「進化論」とは程遠い。

18)しかし、この本の著者などのように、ノマドライフを完全に自らのものにしたあと、人は、どんなことに向かうのだろう。著者は「政局」ではなくて「政策」だ、という。なにやらどこかで、「アジェンダ」という単語を連発しているミニ政党もあるが、このあたりも、当ブログとしては、まだすっきりしない。

19)未整理だが、イメージだけを言っておけば、当ブログにおける「革命」や「進化論」を語ることは、当ブログにおいての「政治」なのであり、「革命」とは、なにか特別な「政権」を樹立する、というか、そういうものではない、ということだ。

20)当ブログにおける「革命」とは、「進化」し続けること。ひとつの地平にとどまらず、自らの意識の導く方向に、無限大に成長し続けようとすることである、と仮定しておく。それはOshoのいうところの「反逆」でもある。Oshoは「スピリットとは反逆のスピリット」以外にはない、とさえ言う。

21)このような文脈から考えてみるとき、今現在は、あまりに唐突のように思えるが、「ウェブで政治を動かす」というテーマとダイレクトに結びついてくるような予感がする。あるいは、そう捉えないと、この本は読めないし、当ブログも、行き場を失い、フェードアウトするのみである。

22)なにはともあれ、この本が何らかの触媒となって、当ブログが進化し、革命を続行することができることを願う。

<4>につづく

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