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2013/03/11

「『未来マシン』はどこまで実現したか?」 石川憲二 エアカー・超々音速機・腕時計型通信機・自動調理器・ロボット


「『未来マシン』」はどこまで実現したか?」エアカー・超々音速機・腕時計型通信機・自動調理器・ロボット 
石川憲二 2012/03 オーム社 単行本  222p
Vol.3 No.0937★★★★☆ 

1)1958年生まれの科学ジャーナリストが、1960年代的「未来マシン」の中から、五つのテーマに絞って、21世紀の今日、どこまで実現したかを、検証する。

2)まずピンと来るのは腕時計型通信機で、これはもうケータイやスマホで実現しているし、さらに60年代的想像力をはるかに超えた性能を勝ち得ている。

3)超々音速機については、当ブログでもたびたび、マッド・サイエンスの象徴のように引用してきたが、撤退したはずのコンコルドなどのプロジェクトを尻目に、人類はまだまだあきらめてはいないようだ。今後、あらたな形で実現しないとは断言できない。

4)エアカーについては、ホバークラフトもあるし、リニアモーターカーもあるので、必ずしも実現していないとは言えないが、かつて書かれたような「未来都市」の乗り物にはなりえていない。

5)自動調理器は、電子レンジをイメージさせるが、必ずしも調理器ではない。むしろ、インスタント食品や、コンビニ弁当などのデリバリシステムとの連動なら、未来マシンとしての自動調理器は実現していると、言えなくもない。

6)さて、最後のロボットは、コンセプトの絞り込みが必要だが、スティーブ・ジョブズが「最後にもうひとつ」として上げそうな「iRobot」は、いつ頃実現するだろうか。コンピュータの延長線上にあるAT=人口頭脳との連動で、必ずや絶対できるはずである。

7)ロボットと言えば、ホンダのアシモ君を思い出すが、ジョブズのiRobotはむしろ、「2001年宇宙の旅」のHALの延長線上に存在するのではないだろうか。

8)鉄腕アトムのような超高性能ロボットが本当に生まれたら、世の中は絶対に楽しくなる。そんなロボットが同じ社会にいるというだけで、うれしくなってしまう。p214「どうしたら鉄腕アトムはつくれるのか?」

9)空は飛べないかもしれないが、怪力ロボットとしての鉄腕アトムならできるかもしれない。アシモ君を見ていてそう思う。むしろ、問題はそのエネルギー源だろう。まさにアトム=原子力発電は「未来マシン」として実現したのだろうか?

10)原子力 発電ではそこそこ利用されているが、福島第一原発の事故をみるまでもなく安全対策が完全ではなく、大衆の不信感はなくならない。未来マシンとしては交通機関から台所用品までほとんどが原子力で動くはずだったのに、夢のエネルギーにはなれなかった。p190「期待外れの十大発明」

11)ここではバッサリ切られているが、「ガイア理論」のラブロックや、「アース・ホールド・カタログ」のスチュアート・ブランドたちは、3・11以前とは言え、21世紀になっても、原発は推進すべきである、と公言し、いずれ、誰もが電話帳くらいの大きさの原子力発電システムを携帯するようになる、とさえ言う。

12)1950~1960年代。原子力を航空機にも応用できないかといった動きが世界中にあったのは事実だ。(中略)しかし現実には原子力飛行機は本格的な開発には至らなかった。その言い訳としてよく使われるのが「事故のときに放射性物質の飛散を防ぐ方法が確立できなかった」という理由だが、これはどうもごまかしに近い。

 航空学的に考えるなら、「ただでさえ重量バランスが難しい飛行機に鉄の塊である原子炉と格納容器、さらには安全システムや冷却システムまで収納するのはあまりにも無理がある」という理由のほうが先に来るはずだ。p14「未来マシンの『その後』が気になる」

13)この本を読むかぎり、電話帳の大きさの携帯原子力システムなど、あり得ない、ということになる。安全性より、まずシステム自体を作ることさえ不可能だ、と断言しているかのようだ。

14)未来マシンについて考え始めたころ、すべて「途中で実現を断念しました」といったダメ出しのオンパレードになるのではないかと心配したが、調べてみると、決してそうではないことがわかった。

 具体的な成果がなかなかみえないものはあっても、どれも科学技術発達史の中では確実に今の時代に受け継がれ、そしてこれからの未来に続いていく。だからこそ、ここでもう一度、「新しい未来マシン」を夢想して、少しでも明るく楽しい未来を創るための手助けになればいいと思っている。p220「未来マシンがつくる『楽しい未来』」

15)片や3・11の爪痕や原発事故があり、片やウェブ社会の成熟や、科学技術の着実な積み上げがある。3・11の2年後である今日ではあるが、未来への夢は捨てずに、生きていかなくてはならない。

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