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2013/03/31

「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法 中谷 健一 (著)


単行本 216p ダイヤモンド社 2010/06
Vol.3 No.0958★★★★☆

1)三年前の本である。 佐々木俊尚の「仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ」( 2009/07 光文社)に影響を受けたと思われる、いわゆる「スタバでAirMac」な一冊である。

2)この手の本は、とくに分速秒進のIT社会においては、常に新刊本でブラッシュアップしておかないと使い物にはならない。しかし、たまには、古い本も面白い。なるほど、3年前はこうだったのか。とすると、これから3年後には、こうなるかもしれないという、夢を書きたててくれる。

3)この本においては、レッツノートが活躍する。iPadはまだ出がけで、評価が一定しない。バッテリーの問題も爆弾として、存在する。一番の問題は、回線だろう。クラウド環境も実務に最適化されていなかった。

4)今日的にいえば、しかも極私的にいえば、まずデバイスは、10インチiPadで決まりである(正確には9.7インチ)。バッテリーの持ちが10時間ある。電源コードも持ち歩く必要がない。

5)キーボードも、Bluetoothな物理ボードはいらない。10インチであれば、ヴァーチャル・ボードで十分である。正直言ってiPhoneもいらない。モバイルでも、オフィスでも、iPadファーストな環境であれば、Evernoteを使って同期さえする必要がない。通信エリアや、ワンセグ、キャッシュレス機能を考えると、型落ちガラケーの方が、優れていることもまだまだ多い。

6)細切れなクラウドが必要なら、Gmailで自分に添付ファイルで送信しておけば、それですむ。一歩譲っても、Evernoteは60MBのスタンダード版で間に合わせることができるだろう。

7)回線は、モバイルLTEルーターで決まりである。スマホなテザリングはバッテリーと定量の問題で実用にはまだなっていない、と判断した。

8)PHS通信カードや、Fon Free Internet、WiMaxのルーターなど使ってきたが、現在のEMなLTEには大満足である。少なくとも、自分の活動範囲をほぼ100%カバーする。どうかすると自宅のWiFiより性能がいい。

9)現在であれば、若い人たちを中心に自宅に固定電話を持たない人たちが、増えているが、3年後には、ネットもモバイルルーターが当たり前、という時代になるだろう。

10)「どこでもオフィス」で悩ましいのが、プリントとFax。3年前のこの本では、インターネット経由の有料サービスや、コンビニのプリントサービスを紹介しているが、今日でも本質的に問題は解決していない。

11)この紙媒体への依存は、本質的にイノベーションが起こる必要がある。まず、本当に紙で手渡し、紙で保存する必要があるのか。そこを突き詰めていく必要がある。

12)客先でのプレゼンなら、10インチタブレットで十分なのではないか。その情報を相手に手渡す必要があるのであれば、事前や事後にメールで送信するとか、手はいくらでもあるのではないか。書類をたくさん準備しても、未使用のママ、シュレッター直行になっているものが多過ぎるのではないか。

13)Faxの問題は、すぐにでも解決できそうだ。単にメールでファイル添付して送信すればいいことだ。だが、これが普及しないのには、幾つか理由がある。

14)Faxは単機能であり、仕組みが簡単だ。番号さえわかれば、すぐ送れる。メールの場合は、相手にメアドを伝える時に、時間がかかる。どうもイマイチ不安が残る。

15)そして、Faxの場合は、相手先のFaxに物理的に紙として届いていることをイメージできるために、送信側としての安心度が大きい。このところを解決しないと、Fax信仰は終焉しない。

16)一番いいのは、会社や法人なら、公的メアドを更にオープンにして日常的に公衆に晒しておくことだ。でも、個人や私人ではこれが難しい。もともとのメアドを言葉で伝えやすいものにしておくとか、特定の相手には前持って知らせておくとかの工夫が必要だ。

17)相手に空メールを送って、ファイル添付して返信してもらうという手もあるだろう。少なくとも、若い層を中心として、自宅に固定電話がないかぎり、Faxが有効に機能しない場面が増えている。未来の「どこでもオフィス」では、Faxは死滅するだろう。

18)プリンターは安いが、インク代がベラボーだ、という、プリンター販売ビジネスにも、メスを入れなければならない。とにかく、無駄な印刷はしないこと。すくなくとも、出先のコンビニでプリントアウトなどという貧困な風景は駆逐しよう。

19)この本で面白かったのは、iPhoneを適度な角度に固定するために、常にレゴブロックを持ち歩いている、というところ。それぞれに、涙ぐましい努力と工夫をしているものだ。カフェで仕事中にトイレに立つ時のために、パソコンをテーブルに縛り付けておくためのワイヤーロックを写真付きで紹介しているところも、涙なしには、読み進めることができない。

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