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2013/03/02

『クラウドの未来』超集中と超分散の世界 小池良次


「クラウドの未来」 超集中と超分散の世界
小池良次 2012/01 講談社  新書 237p
Vol.3 No.0928★★★★☆

1)もう一年前の本である。情報としてはすでに古いものかもしれない。しかし1956年生まれの通信業界を専門とするフリージャーナリストの手による一冊である。一年後の今読んでも、まだ「新しすぎる」部分も多くある。

2)クラウドの話題では、端末として、よくアップルのiPhoneやiPad、グーグルのアンドロイド携帯などが引き合いに出されます。しかし、これはモバイル・ディバイスであって、クラウド・ディバイスとはほど遠いのです。p44「クラウド以前に先祖がえりするモバイル端末」

3)クラウド、の捉え方はさまざまあれど、著者の言うクラウド・ディバイスは、まるでドラえもんの「どこでもドア」みたいなものだ。今のタブレットごときでは満足できない。まぁ、それはそうだろう。不満もたくさんある。しかしながら、端末があり、通信網があり、利用アプリがあり、という全体的なイノベーションが進まなければ、著書のいうクラウドは、それこそ絵に描いた餅でしかない。

4)実は、iモードを筆頭に、クラウド・ディバイスに向かって進化を始めていた携帯電話を過去に引き戻したのが、アップルのiPhoneであり、故スティーブ・ジョブズ元会長にほかなりません。同氏は、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長と同様、根っからのパソコン世代であり、インターネットやウェブ・サービスについてのビジョンは苦手だったのでしょう。だかかこそ、生涯最高のパソコン、つまりポケットサイズのパソコンを作ったわけです。それがiPhoneであり、その出来映えの良さは、時代を逆行させるほどだった---私にはそう思えるのです。

 たぶん、アップルが携帯電話事業に参入したおかげて、クラウド・デバイスの進化は「五年以上遅れた」と私は考えています。p48「時代を逆行させたアップルのすばらしさ」

5)ジョブズやゲイツと同世代の著者ではあるが、なにか「パソコン世代」に怨みがあるのかも知らず、ドコモに義理があるのかもしれない。まぁ、言わんとすることはわからないでもないが、ちょっと言い過ぎだろうなぁ。

6)せっかく光ファイバーが埋設されていても、最後の一マイルができなかったために、ISDNやらADSLに逆戻りしたのは、ちょっと前の日本の状況だった。NTTの罪も決して軽くない。しかしながら、回線だけ、端末だけで、イノベーションが進むわけではない。すくなくとも、ケータイの通信機能にかじりついていた一般ユーザーをスマホへと推し進めたのは、iPhoneだったのだから、著者の言説はかたよりすぎている。ましてやiモードなど、私など、まったく不便で、ドコモをもうけさせるばかりだった。

7)このモバイル・ボトルネックはあと数年で大きく改善されるでしょう。日本でも米国でもLTEと呼ばれる第4世代(日本では3・9世代と呼ぶ)携帯データ網の整備が始まりました。(中略)

 ベライゾンのLTEは当初、受信で5メガビット秒から12メガビット秒、送信で2メガビット秒から5メガビット秒を保証しています。もちろん次世代LTEはより高速を目指しており、最終的には移動中でも受信で100メガビッド秒、固定サービスなら1メガビット秒という目標があります。また、次々世代LTEとして3メガビット秒の実験も着々と進んでいます。p122「ブロードバンドのボトルネックは解消へ」

8)2014~15年あたりには、モバイル網はようやくスピード面で固定網と同じ水準になる(同上)というのだから、楽しみである。私も、今のところ、WiMaxと、LTEモバイルルータを持ち歩いて実験しているが、LTEのサービスのほうがはるかに便利だ。むかし、パソコンにPHS無線データのカードを突っ込んでつないだり、FONで野良電波を探して歩いていたことを考えれば、私にとっては初めてLTEにおいて実用に達したと感じる。

9)マス・メディアに限らず、あらゆる場面においてイノベーター(破壊者)としてのクラウドは強敵です。素早くクラウド側に乗り換えていくしか、この破壊活動から生き残るすべはないでしょう。p235「クラウド・イノベーション」

10)とはいうものの、急発進、急加速、急ハンドルは禁物である。安全運転をこころがけ、快適ドライブを続けたいと願うのが、われわれ一般ユーザーである。端末、ネット網、アプリ類がきちんと揃わないと、生活をうるおすクラウド環境とは言えない。まぁ、そのような近未来が近づきつつある、と前方を直視つつ、右も左にも注意を向けて、ハンドルをさばき続けよう。のろのろ運転をしていて追突されるのだけは、いやだなぁ。

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