『ノマドライフ』 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと 本田直之
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「ノマドライフ」好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと
本田直之 2012/03 本田直之 朝日新聞出版 単行本 172p
Vol.3 No.0930★★☆☆☆
1)なるほどね、こういうライフスタイルをとりあえず、今風の「ノマド」ライフというのかな、という人生を送っている人の本。「ノマド出張仕事術」(上田渉 2010/12 実業之日本社)よりは、「本格的」にその領域を極めている、ということになるのだろうが、いまいち感心しない。
2)こういうライフスタイルは、昔からもあるし、これからもあり得るだろう。時代とともに、周辺情報は変わるだろうが、一定程度の人びとのライフスタイルではある。
3)卑近な例でいえば、われらがフーテンの寅なんか、ノマドライフの元祖のようなものだ。あれはあれで完結している。自立しているかどうかは、見る人の判断によるが、どうしてどうして、現代のノマドだって、本当に「自立」しているかどうかは、さだかではない。
4)世にさまざまな職業があり、列車や飛行機を時刻通りに運行するために働いている人もいるだろうし、郵便や配達便を、正確に、早く届けることに情熱を燃やしている人もいる。教育や介護の現場では、人間に寄り添い、我を殺して、相手のことを最優先に働いている人もいる。
5)この本でいうノマドライフは、佐々木年尚のようなフリージャーナリストや、ネットワークビジネスのようなスタイルに興味を示している人びとにとっては、なかなか興味深いものであろう。
6)フランスの経済学者ジャック・アタリは、世界中どこにいても自ら仕事を創出し、制約のない働き方を実現させている「ハイパーノマド」が世界に数千万人いると述べています。彼がこの考えを記した「・・・・・」が出版されたのは2006年。邦訳「21世紀の歴史」(作品社)は2008年。その後わずか数年で、21世紀型ノマドは急激に増加しています。004p「プロローグ」
7)この本の中には、数か所、ジャック・アタリが、いわゆる「ノマド」に箔をつける形で登場してくる。
8)ジャック・アタリは、2010年に邦訳が出版された「いま、目の前で起きていることの意味について」(早川書房)で、こうも書いています。
「いまでは、生まれた国以外の国でクラス人々の数は1億5000万人にのぼる。通信手段の進歩と自由の拡大から考えて、30年後には、母国以外の国で暮らす人々は少なくとも15億人になっているだろう。それが巨大な変化を引き起こすことは間違いない」p006「同上」
9)いわんとするところはわからないでもないが、ちょっと我田引水がすぎる。確かに変化はあるのであり、そして常に変化はあるのであり、しかも、その変化が、実際はどういう本質を持っているかどうかは、ジャック・アタリがどう評価しようとも、肯定的な意味ばかりを持つわけではない。
10)ジャック・アタリも、著書の中でこう書いています。
「人間の歴史は流浪(ノマディズム)とともに始まるのであり、人間が世界を見いだしたのは動くこと、流浪することによってである(中略) 人類が生き延び進歩してきたのは流浪生活のおかげだ」(「いま、目の前で起きていることの意味について」) p142「クリエイティブ思考は移動で進化する」
11)ノマドというと、ドゥルーズ=ガタリあたりから流行してきているのかとも思うが、この本においては、ひたすらジャック・アタリの言葉が、ありがたがられている。わが読書ブログにおいても、現在、アタリの著書が何冊か積まれており、順次メモする予定。
12)MBAとかワインアドバイザーとか、大学非常勤講師などの肩書を持つ著者だが、生年月日は記載されていない。4~50代の人物かもしれない。日本とハワイを往復して仕事をするとか、家を二つもつとか、それはそれとして、そういうところに価値を見つける人びとには役立つ本だろう。ただ、だれもかれもがノマド化したから素晴らしい、というものではない。
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