『誰でも作れる電子書籍』 今すぐできる制作から販売まで 米光一成
「誰でも作れる電子書籍」今すぐできる制作から販売まで
米光一成 2010/08 インプレスジャパン 単行本 207p
Vol.3 No.0926★★★☆☆
1)こちらの本も3・11後、2年近くを経て最近ようやく復活した公立図書館に、震災直前に納められた本なので、たぶん、手にとって読まれることの少なかった一冊と思われる。それでも「電子書籍のつくり方・売り方」(小島孝治 2010/10 日本実業出版社)に比べたら、具体的な細かい情報で成り立っている本ではないので、出版後2年半を経過しても、比較的、陳腐化は避けられている。
2)3分の2は、いわゆる電子書籍フリーマーケット参加者たちの座談会形式をとっており、具体的なノウハウというより、その雰囲気を伝えることに重きを置いている。ただ、集まっているのはまだまだ本当に最初のイノベーター達であり、アーリーアダプターとさえ言えない仕掛け人たちの一冊と言えよう。
3)後半の一部では関連の文献紹介が掲載されている。単行本や雑誌のなかには、すでに当ブログでも読了済みのものが何冊か含まれていた。
4)小林 私15冊買いましたけど、まだ読み切れてないです! パソコンしかなくて。
米光 パソコンだと、ちょっと読むのしんどいよね。最近ちょっとわかってきたけど、PCだとちゃんと座ってよむからしんどい。寝っ転がって、だらーっと姿勢をくずしたりして読むのって、楽なんだなぁ~。
小林 キンドル読むとき、だら~っとしてるんですか。
米光 寝っ転がって読んでますよ。PCって、ディスプレイが机に対して90度で立ってるから、どうしても、きちんと座らないといけない。
田中 ノートPCでも、案外制限されちゃうんですよね。
米光 本を読むって、基本娯楽だからさ、ちょっとでもやなことがあったら、読まないんだよ。だら~っと読みのは、偉大だな!
小林 明るさとかかと思ってました・・・キンドルのイーインクって、目にやさしくて、つかれないですね。
米光 ちょっとしたことで気が散ったりする。「娯楽だから、いい加減に作ってもいいや」じゃなくて、娯楽だからこそ、すごく徹底して気が散ることを排除したり、快適に読めることを配慮しないといけない。p114「キンドルで電子書籍を読む自由」
5)当ブログにおいては、自らが日常的につかいこなすデバイスとしてのキンドルはノーマークである。タブレットがあればそれで足りると思ってはいるが、この光ではなく、実際の書籍のようにイーインクとやらの魅力は、老眼をかこつ老齢になっている我世代こそ、今後、本当にお世話になる技術に育ってくるかもしれない。
6)iPadは、コミックスや雑誌に向いている。やっぱり映像や音が入ると雑誌の楽しさは増す。驚くほど進化すると思う。ページの概念が変わるのも大きいし、読者同士のコメントの共有や、ネットショップとの連携まで考えると、できることの幅がすごく大きい。インターフェイスデザインをしっかり考えることが大切だけど。p129「電書を読むデバイスとキンドルで読む理由」
7)このあたりは、それぞれの目的とパーソナリティで感じ方が大きく違ってくるだろう。タブレットはたしかに雑誌的だと思う。実際に毎週発行される週刊誌の試し読みなどしているが、なるほど、こういう風に雑誌が読めたら、いいな、とは思う。しかしながら、そもそも雑誌は、銀行の待ち時間とか、床屋に行った時などしか読まないので、日常的に定期購読する気などはない。
8)ましてやコミックなど読まないし、もともと中学校時代から「巨人の星」の大ファンと自称していたわりには、毎週の「少年マガジン」で読んでいたわけではなく、増刊号としてまとまった一冊になるのを待って購読していたわけだから、どうも私はコミック派とは言えない。ジョージ秋山の「浮浪雲」も同じく小学館コミックで単行本になるのを待って購読していた。
9)現在の我ライフスタイルの中のタブレットは、顧客との「パンフレット」の共有という位置付けだから、雑誌的なタブレットが向いていて、キンドルは向いていないと言える。そして、やはり、どうしてもタブレットで、本をまるまんま一冊という雰囲気にはまだなっていない。
10)小説や長い文章を読むのはキンドルがいい。目もつかれないし、寝っ転がって気楽に、集中して読める。p129「同上」
11)だったら、普通に、いままでどおりの紙の印刷物を読めばいいじゃん、と、私なら簡単に思ってしまう。これからの時代の趨勢でどうなるかわからないが。すくなくとも、2年半前のイノベーターたちの風景が、この一冊に切り取られている。
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