「ユビキタス社会と電磁波」―地デジ・ケータイ・無線LANのリスク (プロブレムQ&A) 加藤やすこ著
2008/02 緑風出版 単行本 194p
Vol.3 No.0992★★★★☆
1)同じ出版社の本である「危ない携帯電話―それでもあなたは使うの? 」 とほぼ同等のカバーデザインであり、また著者も「電磁波・化学物質過敏症対策 (克服するためのアドバイス) 」と同じであってみれば、内容の傾向もほとんど同じようなものと考えて間違いない。
2)同傾向の何冊かとなれば、内容についてはほとんど目新しいことはないが、敢えて言うなら、隣接地域における実例がレポートされていたので、やや長文だが、再録しておく。
3)宮城県仙台市では、携帯電話基地局が建ってから、深刻な健康被害に悩まされている地域がありました。一つは、仙台市上野山地区の住宅密集地で、2002年にボーダフォン基地局が、04年にドコモ基地局が建ってから、耳鳴り、不眠、頭痛、鼻血などの症状を訴える人が増えました。
基地局から約100mのところに住む男性(60歳)は、電磁波過敏症になり、大腸がんも発症しました。この男性の隣に住む69歳の男性は、04年4月に悪性リンパ腫になり、05年5月に亡くなりました。
同市郊外の四郎丸という地域でも、ドコモ基地局が建ってから、耳鳴りや不眠を訴える人が現れました。
2004年11月、市民団体「四郎丸無線基地局電磁波被曝公害被害者の会」「くらしと電磁波を考える会・いずみ」「上野山電波塔を考える住民の会」は、携帯電話基地局建設を条例で規制するように求める要望書と、約1600人分の書名を仙台市に提出しました。
翌05年2月、仙台市はNTTドコモ東北、KDDI、ボーダフォンと基地局設置に関する協定書を締結し、近隣住民に計画概要を知らせること、などを定めました。説明対象範囲が基地局の高さ×二倍の範囲と狭い点や、住民からの要望がなければ説明会を開催しないなどの問題点はありますが、この協定書が、基地局の新設を防ぐために役立ちました。
2006年12月下旬、ソフトバンクモバイルが、四郎丸のドコモ基地局から約300m離れたところに、第三世代携帯電話基地局を建てようとしていることが、下請け会社からの連絡でわかりました。協定書には、町内会長の許可を得るという条件が入っていたので、下請け会社は、「07年1月中旬から工事に入る」と町内会長へ伝え、了承を求めてきました。
町内会長は役員を集めて、今後の対応を相談した結果、「工事計画を白紙撤回すること」「少なくとも住民説明会を開いて住民に了承を求めた上で建設を始めること」を下請け会社に要請し、年明け1月5日には、携帯電話のリスクについて書かれた資料を渡しました。約一週間後に下請け会社へ電話すると、「工事は中止になった」と言われたそうです。
地域によってさまざまな事情があるでしょうが、仙台市四郎丸のように、電磁波のリスクを住民が知識として共有し、建設計画がわかった時には、迅速に対応することができれば、安全な生活環境を維持できるかもしれません。地元自治体に基地局の規制を求め、条例を制定するよう働きかけるなど、日頃からの行動が重要のなってきます。p185「電磁波の増加から身を守るために、法的な規制は必要ですか?」
4)偶然だが、先日私はこの地域の電波塔の写真をデジカメに収めておいた。機会があれば、ブログにでも貼り付けようと思っていたのだが、こんなに早くこのようなリンクがでてくるとは予想できなかった。
5)いずれにせよ、今から7年前にこのような反対運動があったようではあるが、現在のところ、よくよく見ると、すでに何本も基地局らしきものが乱立しているのは事実である。なぜ反対したのか、なぜ、その反対があるにもかかわらず現実には立っているのか、住民が納得したのか、機能が改善されたのか、さだかではない。
6)同じところに、次のような脚注もあったのでメモしておく。
7)八木アンテナは、主にテレビの受信アンテナとして使われています。p185「八木アンテナ」
8)この八木アンテナの「八木」は、仙台市のテレビ塔が乱立している付近の八木山と関連するネーミングである。
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