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2013/05/12

大沼安史 (著) 「世界が見た福島原発災害」三部作 <1>

「世界が見た福島原発災害」-海外メディアが報じる真実
2011/5/27 緑風出版 単行本 280p

「世界が見た福島原発災害2」-死の灰の下で
2011/10/31 緑風出版 単行本 396p

「世界が見た福島原発災害3」-いのち・女たち・連帯
2012/3/7 緑風出版 単行本 320p
Vol.3 No.0984~6★★☆☆☆

Oy

1)最近、何かとネット上で電波な話題を提供している著者カップルである。仔細を存じ上げない当ブログとしては、不用意にこの話題に触れることは躊躇するものであるが、表現者に対して、最も失礼なことは無視することであろう。多少、失礼なことになったとしても、精一杯の自分の感触を、自分の個人的ブログにメモしておくことぐらいは許されるものと考える。

2)著者が3・11直後にこの三部作を一年間の間に書きあげていたことを、勉強不足にして、まったく知らなかった。もっとも、3・11直後は、書店も被災して閉店していたし、図書館も、そのネットワークもまともに機能していなかった。また、個人的にも、本を読む、という行為に戻るまで、いささか時間を要したものである。

3)そもそも、3・11の「災害」を、当ブログでは「天災」、「地災」、「人災」に分けている。天災とは、地震そのもののメカニズムに起因する災害のことであり、「地災」とは、地震津波に伴う予測の甘さに起因する災害のことである、と規定している。それに対して、人災とは、3・11の場合、東京電力原子力発電所の「事故」を主に意味している。

4)この範疇でいうと、当ブログとして、もっとも関心があったのは「天災」についてである。つまり、地震のメカニズムであり、津波のメカニズムについてである。そもそも地球が持っているサイクルと、それに対する人間という存在の営み、その対比にこそ関心があった。

5)地震・津波に対する対策の甘さに起因する堤防の事故とか、避難事故とか、第一次産業の被害などは、「地災」ととらえ、かと言って、何のよき対策も持たないまま、ただただ、「オロオロ歩いている」という状態であったことを認めざるを得ない。

6)それに対して、「人災」であるところの原発事故は、科学者でも預言者でもない市井の一民間人であってみれば、思考能力を超えている問題については、「専門家」にお任せ、というスタイルをとってきた。

7)つまり、大略的に、3・11をとらえてはいるが、具体的に、復旧・復興という視線ではなく、あまりの自然の偉大さに目を奪われていた、ということができるし、これまでも、今後も、たぶん、そのような姿勢をとっていくことになるのだろうと思う。

8)図書館や書店が復活したあとは、多少時間がかかったが、読書ブログとしての機能は復活しつつあった。いろいろ読み漁ったが、まだ整理がつかないままになっている。いつかは整理しようと思うが、そこから何か具体策などは生まれてくるとは、自分ながら、とても思えないでいる。

9)しかるに、この方の「三部作」を2013年になって手にとってみて、圧倒されるのは、この三部作を、震災後、ほぼ一年で書きあげていることである。一冊目など、ほぼ一カ月程度で書きあげられたことになる。その内容といい、方向性といい、これは通常の人のできることではない。あきらかに3・11以前から、その姿勢を明確にしていて、なおかつ、その姿勢を明確に書きあげることができる人にしかできない、離れ業としか思えない。

10)おなじ被災地にいながら、これだけの集中力を注ぐことができる人とは一体、どのような人なのだろう。

11)そして、もうすこし言うなら、この未曽有の3・11という「事実」を目の前にしながら、「天災」や「地災」をあまり問題にせず、ひたすら「人災」にだけ集中できる、というのはどういうことなのだろうか。

12)逆に言うと、私は個人的には「人災」だけを取り上げた本というのは、あまり「好み」ではないし、素直に読み進めることができない。原発を作り上げた「人間」は素直に「反省」し、それを作り変えなければならないのだ。そして、それを「作り上げた」側の人間ではない、という「自覚」する自分は、それを作り上げてきた「関係者」の皆さんは、「反省」して、きちんと「作りなおして」くださいね、とお願いするしかない、とさえ思っている。

13)しかるに、この方の「突っ込み」は極めて「鋭角的」である。すくなくとも「人災」に対する事実認識の感度が鋭く、また、自らを、そのシステムを作り上げてきた側の人間だとも思ってはいらっしゃらないようだから、それを作り上げてきた側への「批判」や「非難」は半端じゃない。ありとあらゆる言語的「武器」を行使して、「糾弾」しているかに見える。

14)見えるだけなのかも知れない。実際には、私はこの本を熟読はしていない。正直、この手の本は「趣味」ではないし、他のことに目を奪われていて「余裕」がない。だから、読書としての評価などできる訳がない。

15)それでもやっぱり、この人の「仕事」について、ここで何かかにかのメモを残しておきたいと考えるとするならば、それは、何事かが、私個人と、どこかでつながっているからであろう。

16)まずは、そんなことをメモして、そろりと、モヤイを解いておく。

<2>につづく

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