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2013/06/13

『ニッポンの洞窟』 暗闇に息づく神秘を訪ねて<2>

<1>からつづく


「ニッポンの洞窟」暗闇に息づく神秘を訪ねて
イカロスmook 2012/07 イカロス出版 ムック 109p
★★★★☆

1)釜石から遠野に向かう途中に滝観洞(ろうかんどう)という洞窟がある。ドライブマップを見ながら、奥さんが探し出したので、行ってみることにした。私はこういうところがあることは全然知らなかったが、あってもおかしくないだろうなぁ、と感じた。近くには白蓮洞(びゃくれんどう)という姉妹洞窟もあったらしいが、こちらは行かなかった。ちょっと残念。

2)暗い、怖い、おまけに寒い・・・
でも冒険心を満たしてくれる。
そこが「地底の王宮」 洞窟。

全国に存在する洞窟の奥深くで待ち受ける
神々、石像、自然がつくりあげた地底のアート鍾乳洞、
数千年にわたって風と砂が築いた海蝕洞・・・・・・。

「洞窟」には想像を超える世界が広がり、
さまざまな性格と顔を持って迎えてくれる。
それが魅力であり、特徴でもある。

さぁ、まだ見ぬ闇の空間、
光届かぬ地下世界への旅に出かけよう。
 表紙見返し

3)この本に滝観洞もでているかな、と思って再読してみたが、載っていなかった。ということは、全国には、この本に載っていない洞窟はまだまだ存在しているということだろう。ここにリストアップされているのは、一部なのだ。

4)洞窟って、どうしてあのように広い世界を感じさせるのだろう。数百メートルって言ったって、せいぜい、学校の廊下を全部ぐるっと回ったくらいなものだろう。中腰になって、ゆっくり一歩一歩歩いて、一周したり、往復したりしても、せいぜい一時間程度。

5)場合によっては、地底とは言いながら、山の中腹から、上に登っていくような位置にある洞窟もある。決して海抜ゼロメーター以下ではない。

6)そこに広がりを感じるのは、空間の広さではなくて、時間の長さだろう。1年、10年というサイクルではない。江戸時代や奈良時代と言ったタイムスパンでもない。弥生時代でも、縄文時代さえもはるかに超えていく。

7)本当は、どこの自然も、何万年、何十万年、何億年という時間を経過して作られたものだが、その表面は日々変化していく植物に覆われているために、それだけの時間の積み重ねを感じることはない。

8)ところが洞窟は、植物に覆われている部分なんてない。全部むき出しだ。そして、長時間かけて作り上げられた自然の営みの積み重ねが、一瞬にしてみることができる。

9)滝観洞に入るには、ジャンパーと、長くつを借り、ヘルメットを借りなければならない。そして、足元に水が浸入し、頭を天井にぶつけながら、したたり落ちる水滴をかぶりながら、中腰になって進んでいく。

10)途中に、映画「八墓村」の撮影に使われたという場所もある。植物も動物も、ほとんどない。あっても化石だ。手すりがなければ、なかなか奥へとは進めない。それに明かりもあるから、進めるけれど、そうでなかったら、もう、洞窟なんか怖くて怖くて侵入できないだろう。

11)洞窟は神秘的な魅力を秘めている。

日本独特の石灰岩、火山の爆発による熔岩----。
暗黒の洞内は、自然が個性豊かにつくりあげてきた。
洞窟はそこを訪れる人の冒険心を満たしながら、
悠久の歴史をも感じさせてくれる。
 裏表紙

12)やっぱり、おもしろかったね。わずか1時間の冒険だったけど、冒険したーーーー、って気分になる。洞窟があったら、また入ってみたい。

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