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2013/06/13

For the Children 子どもたちのために ゲーリー・スナイダー<3>

<2>からつづく 

ゲーリー・スナイダー (著), Gary Snyder (著), 山里 勝己 (編集, 翻訳), 高野 建三 (写真)2013/4/23 新泉社 単行本: 143p

1)2011年、山里勝己と三島悟から連絡があり、(高野)健三さんの写真と私の詩を一緒に本にして、それを人間世界の手に負えない諸問題と対照させてみてはどうかという提案があった。それはまた、三省を追憶するためのよすがになるものでもあった。それが、いまあなたが手にしている本なのである。 p6ゲーリー・スナイダー「序文」

2)3・11と遭遇し、ようやく初期的混乱から抜け出し、読書でもしようかと思うようになるまで数カ月かかった。そして一番最初に手にしたのはゲーリー・スナイダーだった。

3)私は「手に負えない諸問題」を解決するために、ゲーリー・スナイダーにヒントを求めたといえるだろう。あるいは、ゲーリー・スナイダーしかない、とさえ感じ、彼の中に、逃げたようなものだった。そして、ゲーリーを思い出せば、当然、三省のことも思い出した。

4)「日本人のなかには、部族とナナオとその仲間がカウンターカルチャーであると考えているかもしれません。それは的外れであると言わなくてはならないでしょう。それはわずかな人々です。しかし、日本は変わり、他の社会の影響を受け、世界のカウンターカルチャーは広がりを見せました」と述べ、現在、日本において、原子力発電の継続について懐疑的になっていることや、アメリカで起こっている富裕層に対するデモ活動もカウンターカルチャーであると言っている。「現代詩手帖」 2012年7月号p47特集「ゲーリー・スナイダー・イン・ジャパン」 高橋綾子「カウンターカルチャーはどこにでもある」

5)しかし、たしかにスナイダーは、二本の足で大地にすくっと立っては見せてはいるが、私は、スナイダーの足にすがって生きていくことはできない。私は私の足で立たねばならないのだ。

6)常にあった、ゲーリー・スナイダー的な「救い」は、本当は、自らの内に見つけなければならないものだった。内なるスナイダーではなく、内なるスナイダー的なもの。それは、私の内なる、真の私たるべき何かなのである。

7)私たちの希望は相互に浸透し合う領域を理解し、私たちがどこにいるかを学び、そうすることによって地球全体を視野に入れたエコロジカルなコスモポリタニズムの生き方を確立することにある。

 そのためには、身軽に、慈悲深く、高潔さを保ちながら心は激しく、「野性の精神」の自らを律するエレガンスをもって生きていきたまえ。 p80「惑星の未来を想像する者たちへ」

8)地球全体を視野に入れたエコロジカルなコスモポリタニズムの生き方を確立すること。なんと簡潔な表現なのだろうか。そして、さらにこれを要約すれば、単に「生き方の確立」とさえ縮めることができるだろう。

9)身軽に、慈悲深く、高潔さを保ちながら心は激しく。それは具体的には、この詩人の生き方にある。「野性の精神」の自らを律するエレガンスをもって生きる。この言葉を言える人は、やはりゲーリー・スナイダーなのだった。

10)私はこの本を手にして、我に帰った部分がある。スナイダーを語るのではなく、スナイダーを通して、自ら内なるものへと回帰する必要があったのだ。スナイダーは、一人の先達、ひとつの鏡とはなってくれる。しかし、歩くのは自分の二本の足だった。

11)この本を読んでいて、三省のことも当然思った。三省は「聖老人」から始まり、アニミズム三部作に集結した。しかし、最近できた「インド巡礼日記」と「ネパール巡礼日記」を、当ブログではまだ完読していないことを思い出した。このもっとも初期的三省の書を読み終わらなければ、当ブログにおける三省の環も完成しないことに気づいた。

12)Vol.3のうちに、この二冊を読み終えることができるだろうか。それを読み終えることは、本当はどういうことを意味しているだろうか。

<4>につづく

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