「日本の恐竜図鑑」 じつは恐竜王国日本列島
宇都宮 聡 (著), 川崎 悟司 (著) 2012/2/1 築地書館 単行本 157p
Vol.3 No.1020★★★★☆
1)日本から世界最古級の魚竜 ウタツサウルス(歌津魚竜)Utatsusaurus hagaii 魚竜類
分類 爬虫類 魚竜目
産地 宮城県本吉郡歌津町(現南三陸町)
地層 稲井層群大沢層
時代 三畳紀前期
体長・特徴 約1.4m。小さい頭部と長い胴体、ほっそりとした鰭(ひれ)をもつ
食性 魚類や頭足類
共産化石 アンモナイト(セラタイト)
宮城県北部の海岸には、加工して屋根瓦などに使われる粘板岩(スレート)からなる地層が分布している。この薄くはがれる性質をもつ岩中からは、セラタイト(古いタイプのアンモナイト)などの海生動物の化石が見つかる。
1970年、この粘板岩が分布する歌津の海岸に地質調査に来ていた4人の古生物学者たちが、脊椎動物の化石を発見した。その後、周辺の地層から複数の標本が得られた。研究の結果、それは世界最古級の魚竜化石と判明した。
魚竜は、三畳紀前期に出現し大繁盛したが、白亜紀中ごろの海洋の酸素欠乏が原因で絶滅した海生爬虫類で、原生のイルカのように、海での生活に適応し、出産も海中に直接子どもを産み落とす卵胎生だった。
また三畳紀後期には、20mを超えるクジラのような巨大な魚竜も出現している。
歌津で発見された化石は、その後、新属新種「ウタツサウルス」と命名された。鰭は細長く、胴長で、背鰭(せびれ)、尾鰭(おびれ)はあまり発達しておらず、また陸上での生活の名残と思われる、背骨と後肢をつなぐしっかりした腰の骨をもつなど、魚竜としては原始的な形態を残している。
南三陸町ではウタツサウルスの化石を算出した地層より新しい地層から、より小型で海生生活に適した形態を持つクダノハマギョリュウも発見されている。
魚竜の絶滅と家れ変わるように、白亜紀の海の覇権はモササウルスの仲間に移っていく。p140
2)久慈琥珀の中の日本最古のカマキリ化石
岩手県久慈市周辺に分布する久慈層群は、白亜紀サントニアン期ごろに浅海(せんかい)~陸で堆積したと言われている。
久慈層群からは、スッポン上科の大きなカメ類や、周蝕頭類と思われる恐竜化石、翼竜類化石などの動物化石が発見されている。当時は温暖な気候で、沼沢地だったようだ。
しかし、この久慈の名を世界に知らしめているのは、琥珀である。久慈では30kgを超える琥珀の巨大な塊が発見されている。
久慈琥珀は、白亜紀の南洋スギなどの樹脂(松脂)が化石化したものと言われ、磨くと温かみのある飴色の光沢を放ち、縄文の昔から宝飾品として珍重されてきた。また燻(いぶ)すと独特の高貴な香りを発し、香道で薫陸香(くんのこ)と呼ばれる香の原料となる。
時として琥珀の中には、十氏に脚を取られたさまざまな動物が一緒に保存され、化石化していることがある。映画「ジュラシック・パーク」は、この琥珀に閉じ込められた蚊から恐竜のDNAを取り出し、恐竜を再生するというストーリーだったが、久慈琥珀の中にもジュラシック・パークさながらに、鳥(恐竜かも)の羽毛や昆虫たち(シロアリ、ゴキブリ、チャタテムシ、サシガメ、カイガラムシ、甲虫、ユスリカ、オトリバエ、クモ)など、さまざまな生き物が保存されている。
なかでも出色なのは、カマキリの先祖の化石が発見されえいることだ。体長は14mm。特徴的なのは、得物を捕える鎌のつね根に、現代のカマキリに共通するトゲがあることだ。白亜紀後期は顕花植物が増加し、それに適応して昆虫たちが現代型に移行したと考えられているが、このカマキリ化石はその重要な証拠とされている。おそらく新種だろう。
カマキリは、その優雅な外見とは裏腹に、ゴキブリやシロアリに近い仲間に分類されている。彼らの共通の祖先は、プロトファスマというヘビトンボに似た外見の昆虫で、海外の石炭紀(約3億6000万~2億9900年前)の地層から化石が発見されている。p76
| 固定リンク
「27)Meditation in the Marketplace5」カテゴリの記事
- 再読したいこのカテゴリこの3冊「Meditation in the Marketplace5」編(2013.06.16)
- ニューチャイルド OSHO <6>(2013.06.16)
- ニューチャイルド OSHO <5>(2013.06.16)
- 「もしも?」の図鑑 「恐竜の飼い方」 土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)(2013.06.16)
- ニューチャイルド OSHO <4>(2013.06.15)
コメント